翌朝

「じゃ、行ってくる!」
「行ってらー」
「燕、行ってらっしゃい。」
「おうソラ、今日は早いのな。行ってきまーす!」


野球部の朝練がある燕はすぐに出ていった。台所では相変わらず疾風が弁当を作っている。


「おはよー。」
「今日は早いな。まだ朝飯出来てねーんだけど。」
「大丈夫、何か急ぎの用があって起きた訳じゃないから。」
「そーなのか?」
「うん。」


さーて、では嵐ちゃんを起こしに行きますか。その前にトイレに行こう。家事全般をやってる疾風は時間までにリビングに来ないと起こしに行く。一応全ての部屋に鍵はついているが誰も閉めたりしないものだ。


「女の子なのに無用心だなぁ。」


まぁ、だからと言って無断で部屋に入ることは掃除をする疾風以外は滅多にないことなのだが。

嵐ちゃんは薄暗いベッドの中ですやすやと寝ていた。

そろそろアラームが鳴るはず。嵐ちゃんは二度寝三度寝するから一度目のアラームの時間だけは早いのだ。


「んー…」


案の定早めに鳴った携帯のアラームを嵐ちゃんは消していた。その瞬間また寝始める。


「嵐ちゃん、二度寝すると寝覚めが悪いよ?」
「……?」
「嵐ちゃーん?」
「ソラくん……」


嵐ちゃんは一瞬だけ俺の姿を確認するとまた寝てしまった。この寝覚めの悪さは母親譲りかな?


「じゃ、俺も寝ちゃおー」


本当に寝ているらしくウンともすんともしない。人は自分の名前には眠っていても敏感だとよく解る。寝ているときは体温が上がるからなのか布団の中は熱いくらいだ。右腕を枕にし、左腕を布団の上に投げ出し嵐ちゃんの髪を触る。

布団の中というのは不思議なもので、目が覚めていた俺だが瞬く間に眠ってしまった。





ピピピピピ…!

「ん………」



携帯のアラーム。さわさわと夢うつつな嵐ちゃんに体を触られていた。彼女は恐らく携帯を探しているんだろう。


「よいしょ。」


俺の左側にあった携帯のアラームをかわりに止めてあげた。


「そろそろ起きたら?」
「…………?」
「このアラーム、二度目だよ。」
「ソラくん……」


嵐ちゃんは一度目と全く同じリアクションをしている。また寝るのかな?と思っていたらカッと目が開いた。


「うぉわぁぁあ!?」
「おはよ。」
「えっ、え!?」


生憎各々の部屋は音楽趣味があるためか警報ボタンを押さない限り中の声は外に聞こえない。


「朝だよ。」
「……なんでソラくん!?」
「起こしに来た。早くリビング行こ?」
「わ、私パジャマだよ!」
「いつも朝御飯はパジャマじゃない。」


とゆーか、疾風以外基本朝は皆パジャマだ。嵐ちゃんの手を取ってずるずるリビングに引っ張る。


「疾風ーご飯ー」
「おう、出来てんぞ。って嵐!?今日は早いな!!」
「ソラくんに起こされたの!」
「ソラに…?お前なんで今日早起きしたのかと思えば…!」
「あっ!!」


嵐ちゃんが突然声をあげたかと思うと


「ソラくんなんか知らないっ!」
「あはは。」


そのまま洗面所に行ってしまった。


「…そーいや喧嘩してたな。ありゃ完全に忘れてたんだろうけど。今度は何してからかったんだよ。」
「疾風には言えないような事かな。」
「は!?俺には言えないこと!?益々何やったんだテメー!」


疾風の作ったフレンチトーストは今日も美味しい。
さて、次は何をしようかな。



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