季節は秋です。焼きいもが美味しい季節になりました。


「みんなー!焼きいも食べなーい?」


帰宅。家には相変わらず家事をやってる疾風しかいなかった。


「お、焼きいもかいいな。」
「疾風だけ?」
「レンなら地下室にいる。」
「嵐ちゃんとクラウドは?晃平はボクシングだろうけど今日は練習日じゃないだろ?」
「さぁ。遊んできてんじゃね?動物の世話とか。」
「折角ほかほかなのにな〜」
「冷めたらチンするなりスイートポテトにしてやんよ。」


俺の紙袋の中から焼きいもを一本取ると熱い熱いといいながらそれにかじりついた。エプロンをつけたままの疾風を見ていると農家になった気分だ。


「レンにも届けてくるね!」
「おー。」


クラウドと嵐ちゃんも早く帰ってこないかなぁ。


キュィィイン!バチバチバチ…

「レンー!焼きいも食べない?」
「…沢田か、何か言った?」
「焼きいも!甘くて美味しいよ!」
「…食べる。ちょっと今手離せないからそこ置いといて。」
「うん、冷めちゃうから早めにね。」
「了解。」


レンはいったい何を作ってたんだろう。


「おー、うめーぞ焼きいも!」
「……それはよかった。」
「ん?」
「ねぇ疾風、俺前々から言いたいことがあったんだけど…」
「何?」
「疾風は家事が趣味なの?」

「……は!?」


ソファで焼きいもを食べてる疾風に問いかけてみた。


「だって疾風ってソファーに座っても寝るでもなくテレビを見るでもなくゲームをするでもなく新聞読んだり家電のチラシみたりスーパーの広告にチェックいれてばっかりじゃん!読んでる本だって生活の裏技とか民間療法とか料理本とか…!今だって!ピアノはどうしたの!?」
「ぴ、ピアノは今でも趣味だ一応!」


これが現役高校生の姿か?なんで家での基本スタイルがエプロン!?


「それにこれには理由があって…!」
「何、また嵐ちゃんのお弁当の新作?」
「ちげーよ!親父と勝負あんだよ!」
「勝負になんで料理本が?」
「は?料理対決なら必須アイテムだろ。」
「料理対決!?」
「名目はカレーだ。2000円以内で7人分!」
「カレーなんて誰が作っても同じような味になるじゃん。」
「ふっざけんな!どのルーを使うか、そのルーにはどんな米が似合うか、野菜はどこの何をいれるか、旬は取り入れてるか、隠し味はどうするか、スパイスは何を使うか!カレーのつけあわせとか、らっきょうか福神漬けか…言い出したらキリがねぇ!!」
「おお…」
「そのカレーを誰が作っても同じだと?ぶっ飛ばされてーのか!?」
「ご、ごめんって…。」


さ、流石あの二人の息子…こだわりはんぱねー!


ガチャッ

「ただいまー、何かいいにおいするー」
「…焼きいも?」


嵐ちゃんとクラウドが帰ってきた!


「おかえり、焼きいも食べる?」
「食べるー!」
「疾風、テレビ使う?」
「つかわねーけど。」
「嵐、どーせオープニングはムービーだし交替でやろ。焼きいも食べながら。」
「おっけ!スタンバイよろしく!!」

「ゲームのソフト買いにいってたの?」
「うん!割り勘で!!これ超欲しかったんだよねー!あ、クラウド勝手に始めないでよそれ共同メモリーなんだからー」
「芋、早く。」
「誰が芋じゃい!」
「あ、待て!どーせ飯までやりこむんだろ!?掃除機かけねーと!」
「いーじゃん一日くらい。」
「ダメだ!」

ガ〜

「掃除機かけんなー!」
「台詞聞こえないんだけど!」
「うっせーな!三分も待てねーのかお前らは!!」

「………。」






美味しいな、焼きいも。
素敵にな君へ

end


(c)ひよこ屋



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