honeybee 98
天気は曇り、涼しい昼下がり。
「ん〜調子は良いね。健康健康!」
「じゃぁ明日退院!?あ、今日!?!?」
「どんなに早くても三日後の水曜日よ。これ以上早くなる事はありません。ま、三泊四日の病院旅行だとでも思って。」
「そんな旅行は嫌です。」
人見知りをしない時雨は早くも担当医、境先生と打ち解けていた。場所は病院の診断室。
「ちゃーんと安静にしなさいよ〜」
「わかってますって!」
医療室を出るとそのまま屋上に直行した。
午前中は魅艶の両親が来て色々バタバタしていたのでやっと過ごせる静かな時間である。
屋上
「は〜ー…学校行きたいなー。」
屋上で時雨は盛大なため息をついていた。
(いざ出来ないとなると無償に修業したくなるなー。つかコナンやブッダにも会いたいし、魅艶にも会いたいなぁ。)
そよ風が頬を撫でる。乍に手を起き体重をかけると
「はぁ〜…リョーマにまた心配かけちゃったし……。」
またため息をついた。そんな時雨に影が一つ。
「そんなに"リョーマ"君に会いたいんか?露原時雨はん?」
「!?」
その影は意外なくらいに大きく、調度時雨より頭一つ分くらい背が高い男の子のものだった。
「……誰?どうして私の名前を知ってるの?」
「俺?俺は福沢諭吉ゆうねん。ユッキーって呼んでくれ!で、君んことは境先生から聞いたんや。」
ニハッ、と屈託のない笑顔を見せる彼、福沢諭吉(フクザワユキチ)。
「は?」
「青春学園中等部1−2の最強美少女剣士がきたってな!」
「境先生めテキトーな事を…。」
「でな、どんだけ綺麗なんやと思ったらなんやねん、超ベッピンさんやないか!びっくりしたで!まさか同じクラスとはな信じられへんわ!」
「はぁ…私だってあんたが同い年は思えな………」
「同じクラス!?」
「せや」
「誰!?」
「だから福沢諭吉やて時雨はん。」
「福沢諭吉………知らん。あ、もしかして不登校の…!?」
「イエース!」
「明る!!」
「当たり前やないか。時雨はん達が俺学校行ってない理由知らへんのか?」
「うん。」
「……………城守先生ー…。」
偶然にも同じクラスだったらしい。
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