honeybee 94
『場所?』
「そう。試合見に行こうと思ったんだけど場所知らなくてさ。」
『えーっと…』


日曜日。本日はテニスの都大会だ。
大会を見に行こうと早起きしたのが上記の通りである。


「自転車じゃ無理だな。歩きで行くか。」


そんな訳で洋服に着替えゆらりと道を歩いた。時計を見れば開会式の事を考えると十二分に時間がある。
自転車で駆け抜ける風も気持ちいいが歩きで迎える朝も風が涼しくて気持ちいい。空も快晴、絶好のお散歩日和だ。


「あ……」


駅に行く途中には大きな公園がある。中を通るのが駅までの最短ルートなのだが…ざあぁっと流れる木陰を見ていると無償にブラブラしたくなった。


(…10分くらいならぼけっとしてもいいよね。)


とさっと静かな木陰に腰を下ろす。目をつむり意識を手放せば今にでも寝てしまいそうな位、温かくて涼しくて気分が良かった。


「……………………」
「……………………」
「は!危ない危ない…」


睡魔に襲われた時雨であったがブンブンと頭をふると、座禅を組み護身用の刀を突き立て両手で包んだ。
そしてもう一度目をつむり見聞色を試みる。


「…見ぶ」

――キンッ

「わぁ!!」


だが思いの外早く出来…。というより一瞬で出来てしまったことに本人が驚いてしまったのだ。


「マジ?」


ざぁっと風が吹く。木から落ちる葉っぱがスローモーションで見える。
つん。と拭いてきた葉っぱを親指と人差し指でつまんだ。


「…やっぱり出来てる……何でこんな一瞬で?」



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