honeybee 85
「まぁまぁ、このままいなよ時雨。」
「ハァ!?今委員会中でしょ!?」
「まだまだ時間かかるから中にいなよ。大体頭と背中痛いんでしょ。まぁ一番痛いのは時雨だけど。」
「黙っとけ馬鹿。」
「いいでしょ先輩。」
「え、ええ…。」


そんなこんなで時雨は図書室から出られなくなってしまった。


(くそぅ!何故こんな目に…。烈だ!烈のせいだ!)


もともと知名度のある時雨は好奇の眼差しを受けながらリョーマの席付近まで歩いた。


「馬鹿ね〜」
「助けろよー…」

1-2のもう一人の図書委員はくすりと時雨を笑った。
容姿はさることながら時雨の(珍)行動は目立つ。


「はい。」
「え、いや隣はちょっと…仕事の邪魔だし!窓側の端っこにいるよ。」
「なんで?」
「だからその…な、なんでもだよ!!仕事の邪魔だから!」
「時雨も手伝ってよ。」
「なッ…!と、とりあえず今はあっちに!」


さっと窓際の一番後ろの席に移る。少しでも視線から逃れる為だ。
何だか気まずいというかいちゃいけない様な雰囲気を感じた時雨は黒板から校庭に視線を映す。

痛みも視線も失くなってき、春の温かい風が時雨の頬と髪を撫でた。


(あったかいなー…気持ちいい…ずっとここにいたら眠ってしまいそうだ…)
(どこの部活も今日は活動してないから校庭も静かだな。)
(あれ?そういえばもうすぐ都大会だよねー…心眼どうしよう…今やろうかな修業…)


ぼけーっと窓を眺めながらそんな事を考える。烈と道場破りでの名雪と完敗した魅艶を頭に浮かべた。


(よし!やろう!!)


時雨は目を細め、閉じる。


(体の全神経を瞳に集め、体内に流れる血を逆流させるように、感覚を全身に、そして外界へと広げて行く。)
(完全な静寂と完全な暗闇が私を満たしてキーン、て頭に電流が流れたら…)

(心眼の合図。)


――キィィイン…


「!!」


目を閉じている時雨の世界は今だ真っ暗。


(今、紙が少し動いた様な気がする。)
(ひらひらひらひら……)
(あ、あれ?おっそ…紙落ちるのおっそ。…何だこれ?)


「あー!落ちちゃった!!」


紙が落ちる事に気付いた20秒後、委員長さんはやっと紙がひらひらと落ちていくのに気付いた。



「あ、あれ?」


(なんだこの時間差…しかもまだ紙地面についてないし…スローモーション…?)


「よいしょっと。」


委員長さんは紙を拾う。


(今までは気配を感じるだけだったのがこんなにゆっくり時間が流れるなんて…)


もしかしてただの勘違い?そう思った時雨はまぶたを開けた。



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