honeybee 6
「わー!!セーラー服だ!制服だ!」
シュッと新しい制服に腕を通す。BGの時は基本私服かスーツのどっちかだったから新鮮!
そう、本日は待ちに待った『青春学園中等部入学式』なのだ。
この学校は出席番号順ではないらしく私は授業中の暇を潰せる窓際の席に座った。
窓際は太陽光がポカポカと暖かくて眠くなる。そして少し眩しい。視界には都内の私立にしてはなかなか広い校庭と体育館が映っていた。
目の端にある青は空。
一際目立つピンク色は桜だ。
「ん………うるさいぁ…。」
「やべぇ、マジどうしよう…………。」
最初はあんなにも静まり返っていた教室は徐々に騒がしくなり、現在はガヤガヤとこのザマだ。私と同じ考えを持っていたであろう後ろの少年は睡眠を妨害されたからかイライラしていた。
それにしても日本、平和だなぁ…!!!
だがしかし、現在ちょっとピンチである。ちょっとぼーっとしていたら完全に出遅れた。気が付けば女子も男子もあちこち輪を作って話している。
早くも孤立の危機…!?折角日本に来たんだから友達作らないと!出遅れれたけど!!
と、言うことで
「…………」
「…………少年!」
とりあえず後ろにいる少年に話しかけた。
「おーい。私話す人いないんだ。だからあんたが話し相手になってくれない?」
「……………眠いからヤダ。」
俯せになっていた少年は数秒後、不機嫌そうにのっそりと答えた。もちろんまぶたは開いてなんかいない。やっぱり寝てなかったんだなー。
て、断られた…!!でもめげない!
「うるさくて寝れないでしょ。残り者同士仲良くしようじゃないか。」
「残り者…?」
「皆グループ作っちゃったから。」
「ふーん……」
興味なさそう。こいつ……なんて冷めたやつなんだ…。せっかくの青春が台なしだよ。
「少しは危機感覚えたらどーですか?」
「あんたには言われたくないけどね。」
「?」
「…声的に女でしょ。危機感覚えてるなら俺としゃべってないで話しにいけば?」
確かに。
言われればそうだな、と思いながら今だ俯せになっている少年を見た。窓が開いてる為髪が揺れる。
なんとなく、
少年はどんな顔をしてるのか気になった。
「…名前は?」
「人に聞く前に自分の名前を言うのが道理なんじゃない?」
「チビのくせに生意気だな〜。」
「はぁ…?」
あ。うっかり声に出してしまった。少年はゆっくりと顔を上げる。
眩しい金色の猫目が、前髪の隙間から私を睨んでいた。
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