rabbit 115
sixth day

「んー…」


昨日の事件が嘘だったかのように穏やかな朝。今朝は珍しく1番に起きたみたいである。
ふと横を見ると穏やかなサスケの寝顔。


「……寝顔、久しぶりだ。」


そっと頬に触れるも起きる気配はなし。視界の端に写るサスケと自分の手はしっかりと繋がっていた。
むくりと上半身を起こす。


(…いいこと思い付いた!)
(いつも触ってくれないサスケが悪いんだからね、兎京さん欲求不満ですよ。)


かといってサスケが積極的でも照れてしまうのだが、なんて思いつつ唇を落とす。舌で唇を割り、歯列をなぞり、それを絡めた。


「………、苦し…。―――!!」


やっと覚醒したのか目を見開く。


「兎京…!?」


ねっとりとしたリップ音を立てて唇を離した。


「うぃーッス。おはよう!」
「な、寝ぼけてんのか?」
「その台詞そっくりそのままお返しするよ。」


サスケもむくりと体を起こす。


「目ぇ覚めた?」
「バッチリな。」
「流石私!!」
「自重しろよ。」
「香燐達起きちゃうからリビングの方行かない?」
「あぁ、いいぜ。」


皆寝入ってると思い込み、二人はいそいそとリビングへ向かった。


((――あんな物音たてられて起きない訳ねーだろ!))




リビング

「アーリーモーニングティーでーす。」


兎京は宿場に設備されているティーサーバーで紅茶を作る。


「今日はコーヒーより紅茶な気分なのか?」
「そう!」


マグカップからは心地よい香が立ち上っていた。砂糖もミルクも入れない二人。少し渋いくらいが彼らの好み。


「にしても、兎京がこんな早くに起きるなんて珍しいな。」
「昨日すぐ寝ちゃったからねーどうですか?私に起こされる気分は?」
「すげぇ幸せ。」
「はい!?」
「自分で聞いておいて何照れてんだよ。」
「いや、"別に…"とか言うと思ってたから…。恥ずかしい子っ!」
「朝からやられっぱなしじゃなぁ?」
「罠か!ちょっと喜んだのに損した!」
「まぁまぁこれあげるから許せよ。」


と言って兎京の手に載せたのは一枚のレシート。


「ふざけてる?ねぇこれふざけてるよね?喧嘩売ってるよね!?」
「ちげーよほら、よく見ろって。」
「え?」


【合計:777両】


「いやレアだよ!?レアだけどもこれ貰っても…。」
「金運上がるから。」
「本当かよ…。」


だがイマイチ納得していない様子。渋々お財布にいれた。


「あながち嘘じゃねぇよ。」
「絶対嘘でしよ。」





(嘘じゃねぇ。兎京に朝起こされるって、結構幸せだ。)



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