rabbit 15
結局私達は朝まで話続けて一睡もせず海の国へと走り出す。
アカデミーの話をしたり、任務の話をしたり、はたまた全く関係のない話をしたり、好きなもの、嫌いなもの、サスケとぐっと距離が近づいたと思う。
ただ、木ノ葉を裏切った理由は分からないけど、大蛇丸とカブトが変態くさいのはよく分かった。
「え、何カブトって大蛇丸に忠誠誓ってんの?背信すんの?」
「あいつは俺が大蛇丸を倒したあとそのおこぼれに預かって独立するな。」
「自信満々だね。」
「あれだよ、俺の屍を越えていけ的なアレだよ。」
「嘘つけ、絶対もっと陰湿でしょ。」
横並びに走ってペチャクチャおしゃべり。だからなのか昨日に比べてやたら襲われる。
「下がれ兎京、」
「バカ、これくらい逃げ切れるから。」
「なっ、ーー速い!!」
私は逃げきればいいと思ってるんだけどサスケは戦いたがるんだよね。逃げるのは男らしくないとか思ってんのかな。お陰で『逃げ足だけは速いな、脱兎のごとく。』だなんて嫌みを言われてしまった。
「逃げるよ!」
「てめーまたかよ!」
「……おい、なんで逃げんだよ。」
「戦わないで済むならそっちの方がいいじゃん。無駄なチャクラ使わないで済むし。」
「闇討ちに来たらどーすんだ。」
「逃げる。てゆーかそれこそ護衛のサスケがなんとかしてよ。」
「ぶっちゃけ夜は寝たい。徹夜だし今日。」
「戦うって言っても別に殺すわけじゃないんだから同じでしょ。」
「ビビって来なくなる!」
「あんなに速いんじゃ奪えない。」
「!」
「同じだよ。」
「……チッ、倒すよりお前のダッシュについてく方が疲れるわ。」
「御苦労様でしたー。」
「久々にムカつくなぁ、おい。」
そして、夜。
風呂も入りたいということで宿を取った。
「え、同じ部屋なの?」
「護衛だから。」
「ヤラシーこと考えてんじゃないでしょーね。」
「んなわけあるか!」
「そうだよね、膝枕で真っ赤になっちゃうシャイなあんちきしょうだもんね。」
「き、昨日の事は忘れろ!」
今日は時間がたつのが早くてあっという間に夕焼けだ。
取り敢えず風呂、荷物なんて忍なんだから大してないし着流しを受け取って風呂場に直行。ーー高価なものを運ぶときはこーゆー時に厄介だ。速達は基本巻物だし"速達"だから風呂は諦めるけど(単独だとそこまで遠くないし)……こーゆーゆっくりで良くて単独で高価な物事だと夜手放せないのもあるけど風呂に持ち込まないといけないから辛い。いつもはサイとかいるのにな。かといってサスケに預ける訳にもいかないんだけど。
「……そうだよ、捕まえないといけないんだよね。」
楽しくて、サスケが抜け忍だったことを忘れてしまう。でも、あれだけ気を抜いてるなら案外楽に捕まえられるかな、それすらも演技何だろうか。
私は木ノ葉にいたときのサスケは上っ面しか知らないからアレが本当なのか分からない…。
まぁ、なるようになれ、か。何十にもビニールを被せ、箱と一緒に私は風呂に入ったのだった。
「あ゙〜極楽〜〜!って我ながらオッサンくさいな。」
昨日のサスケのくしゃみは可愛かったなぁ。
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