rabbit 44
*サスケ
イタチを倒し、倒れる直前に、アイツを見た。あの紫色の眼と髪。あの綺麗な女は昨日木ノ葉に置いて行った兎京に違いない。
ここにいるはずもないのに、やっぱり兎京の姿は愛おしくて…凄く安心した。
……兎京……。会いてェよ…。
「サスケ………。」
――死んだら殺すからね…!!!
今だ幻覚が続いているのか?
右手があったかくて、でも冷たくて、それでいて少し痛かった。まるで何かを祈るように強く握られている。
…兎京がいるのか?
なんて、
淡い期待をしてしまう。
「サスケ……。」
!、今の声は…兎京?
「兎京、…か?」
「!!」
姿を確認しようと思ってまぶたを開けるが酷く重たい。体が重い。
「サスケ…!?」
目の前には艶やかな"紫"があった。
見間違うはずのない、見慣れた顔。やっぱり兎京だったんだな…!
「なんでお前がこんな所」
「サスケ!!…たった数日しか離れてないのに、目茶苦茶寂しかったよ…!兎はさ、寂しいと死んじゃうの知らないの!?」
「…ははっ、お前は人間だろ?」
「ひどいよ!おいてなんて…行かないでよ、そんな軽い覚悟で駆け落ちした訳じゃないよ!」
「……悪かった、兎京。」
パチリと目が合うとぐぎゅぅっと思い切り抱き着かれた。
あったけぇ。やっぱり好きだ。
「抜け忍って聞いてたけど…、違ってたんだね。」
「!、聞いたのか…?」
「うん…。なんで、木ノ葉に戻らなかったの、私の家族の事気にしてたの?だったらどうして連れていってくれなかったの!?」
「ごめん…。」
「本当は、解ってるよ。危ないから、本当に抜け忍になってしまうから…だから、私をあの家に置き去りにしたんでしょ…?でも私はサスケと一緒に居たかったよ!!」
「兎京、顔、よく見せてくれよ。」
言われるがまま顔をあげた。
ぺたりと頬に手をそえる。さらさらといい肌触り。間違いなく、いつもの兎京。
「寂しい思いさせてごめんな。」
「…バカ!ウスラトンカチ!!」
「おう。」
目の前にいる兎京は、俺が知ってる「兎京」と何一つ違わない。
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