rabbit 28
*サスケ

今日で兎京と再会してから5日目になる。俺の腕の中で兎京は昨日の夜と同じように眠っていた。
どーせ今日でサヨナラなら昨日のうちに無理矢理ヤっちまえばよかったな、なんて思うもやはりこの顔を見たらそんな気も失せるわけで、


「ずっと、笑ってろよ。」


撫でた髪はやはり柔らかい。髪から頬っぺた、唇と指を滑らす。もう、最後だ、これで。もう会わない。

ゆっくりと兎京の頭から腕を抜いた。体温が離れてくことに一抹の寂しさを覚える。


「兎京、……寝てるのか?」


………。
返事はない。寝ているようだ。このまま兎京の前から姿を消そう。


「兎京、」


俺も木ノ葉に戻りたいよ、ナルトだってサクラだって本当は大切だ。大好きな仲間だ。……それでも俺にはやるべき事がある。


「兎京、起きないでくれよ…。」


これで、終わりにする。木ノ葉も、ナルトもサクラも、兎京への思いも。俺は、大蛇丸の所に帰るんだ。

ゆっくりと兎京に顔を寄せる。右手を頬に添えて、左手を兎京のギラギラした義手に重ねた。




一瞬だけ、兎京の熱を感じる。




「…起きて、ないですよね?」
「起きてるよ。」
「!!!?」
「サスケ、起きてるよ。本当は膝枕をしてくれた日もずっと起きてたの。」
「なっ…!」
「ねぇ、私のこと…好きなの?」
「………。」


好きだ。でも、それは言えない。


「私は、…」


兎京、その先の言葉は言わないでくれ。


「私はサスケのこと」


言われたら、引き返せなくなるから。


「…ーー」
「自惚れんな!!」
「サスケ…」
「お前を護衛したのだってただの気紛れだ。」
「……木ノ葉には、戻ってくれないの?」
「…ああ。」
「そう…。」


ーードスッ


「……?」


脇腹に、じんわりと痛みが広がる。


「兎京っ…?」
「木ノ葉に戻らないのなら、キミを殺す。」
「なっ、」

グイッ、 ドガッ!

「ぐあっ!」
「……。」


重ねていた手を引っ張られそのまま壁にぶち当てられた。手を背中に回され、身動きが取れない。

兎京、演技だったのか?


「兎京…」
「……。」


全部演技だったのか?あの笑顔も全部………。



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