rabbit 7
石の国

「この王冠はブルーダイヤモンド、ダイヤモンド、そしてパライバトルマリンで出来た非常に高価な王冠だ。頼むぞ。」
「は、はい…。」


この王冠を作ったらしい職人に私は絵に描いたような、いや、絵なんかでは書き表せない豪華絢爛できらびやかな王冠の入った箱をもらった。中には柔らかいクッションが敷き詰められておりマトリョーシカのように三重に箱が重ねられている。鍵だって複雑怪奇で鍵をなくしたらいっかんの終わりのような気がする。
こんなに高価なものなら雷だか岩だかの忍が使えるらしい「天送」という術で送って貰えばいいのに。と、それを言ったらあれはもしも何かあったら困るから却下、だそうだ。

おいおい、私に任せるくらいならその術使った方がはるかに安全だよ。だって、


「いってらっしゃいませ!」
「頑張って下さいね、兎京さん!」


この任務私一人しかいないんだもん!

おい、可笑しいだろ!いくら少人数の方がバレにくいって言っても単独はねーだろ!


「どうか強盗に遇いませんように……。」


心の底からそう祈って里を出た。職人さん達のブンブン降る手に私は弱々しく返す。海の国まで一睡もしねーぞ。

このまま強盗が追い付く間もないくらい速く走って里に行こう。ーーそう、ハヤテのごとく!(漫画違う)





「お前だな!海の王冠を持っている奴は!!命が惜しけりゃそれをって……、あの、ちょ、」
「やべぇ来たよ、逃げよう。」
「あのちょっとぉ!?話聞いて!ちょ、速くて追い付けねーぞ!!」


ただの強盗なんて怖くない、そこらの忍だって怖くない。どちらも私の神速には追い付けないからだ。

まずいのは、


「風遁圧害!」
「!!」


そこらの忍じゃない忍。

ゴッ!!と凄まじい風の威力で大地がもげた!お前、自然環境とか考えろよこの破壊神め!!


「一人とはなめられたものだ。」
「死ぬか、死んでその箱を置いていくかどちらか選べ。」
「あ、死ぬなら王冠傷つけないでねマジ本当それ高価だから。」
「アレを売ったら一生遊んで暮らせるからな、しめしめ。」


しかも、相手はフォーマンセルで双子か兄弟。コンビネーションはべらぼうに良いだろうし少数精鋭だから逃げにくい、これは参ったぞー!
おまけに私片手印しか使えないからね!もう本当死んだからね!

まずいぞ、まだまだ海の国には距離があるのに、いくら私の足が速くても3日はかかる…。一人だからバレにくいとか言っといて綱手様の馬鹿!バレてんじゃん!一網打尽じゃん!


「あの、いやこれ中身本当しょーもないんですけど。」
「なら置いていけ。」
「あのでもこれ危篤の母が死ぬまでにもう一度読みたいって言ってた同人誌でして…。」
「構うな殺せ!」
「盛大な嘘だなぁ。」


くそう!なぜバレた!!四人兄弟は私と相性の悪い風遁の業を次々に出してきた。広範囲を一気に、しかも遠距離で戦える風遁使いは体術と少しの片手印しか使えない私とは分が悪い。土遁とか本当もう最悪だと思う。おまけに暗器とか口寄せとか使ってくるからねあいつら!


ちゅどーん!

「ひぃっ!」


ヤバイヤバイ死ぬ!


「ちょ、強盗!そんなにバンバン攻撃して王冠に傷ついたらどーすんでい!」
「構わぬ。バラでも相当な高値だ、何より多少の傷などさしたる問題ではない。」
「傷ついたら私の首が飛ぶんだよ!」
「その前に俺たちがお前の首を飛ばしてやらぁ。」


ちゅどーん!


くっそー、あんなチンピラみたいな野郎のくせにバカ強い、必死で王冠を守りながら避けるがいつまでもこうしていても拉致があかないし、私の体力もいずれ底をつく。それに加えて王冠に傷を付けたら首が飛ぶ。
こいつらから逃げ切るのもキツいし面倒だ。やっぱり倒すのか一番手っ取り早いな。


ーーよし。


「片手印、千殺水翔!!」


だん!と地面を踏み水の刃が敵を攻撃した。体術は使いたくない、千殺水翔に気をとられてる間にやるか!


「片手印、水遁水牙弾!」
「甘いわ!」


あぁやっぱりダメだー!相手風遁だしな、チクショウこんなことならちゃんと片手印作っときゃよかった。しかも水遁得意だからとか言って水遁しかやってねーよ!


「死ね!」
「か、片手印、水遁水陣壁!」


なんとか風の刃を相殺した。やべぇ、忍術使い果たしたよ。


「ちょ、本当なげるよ!?これ捨てるよ!?もっと穏便に戦った方がいいんじゃないですかね!」
「風遁烈風掌!」


うわぁダメだ聞く耳持たずだよ!


「ひぃっ!」
「ちょこまかしやがって…。」


仕方ない、懐に入ってパンチを入れないと本当に死ぬ。



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