Mermaid 72
浦島と出会って三日目・朝

「もう行くのかい?」
「はい。世話になったな。」
「そうか…」
「だから、今日は浦島の漁の手伝いをしましょう。」
「飯と寝床貰ったからな」
「最初はびびったけどアンタ結構イイヤツだし。」
「義理人情ってやつだ、借りた恩はしっかりかえさねぇとな!」
「なーに、私達がいれば魚位チョロいもんさ。」
「って、事で出発ーっ!」


文字通り恩返しのために鋼牙達は漁を手伝う事に。「情けは人の為ならず」彼等はそれを学び、浦島もまたひしひしとそれを感じた。

コレは、そのことわざを実証するかのような物語。





海原

「ガル!」

ばっしゃぁぁん!!

「うおわぁ」


サハラから放たれた風の刃は波を切った。大きいモノから小さいモノまでありとあらゆる魚が宙を舞う。


「ガル!」


標的…つまり魚を再びガルで宙に浮かせ、鋼牙が一気にそれを捕まえにかける。八角と銀太は鯱角と鮫太にのり(呼んだらいた!)次々に魚を浦島の船に飛ばしていった。


びしゃん!

「大漁だなぁ!」
「そ、そうだけどな、いいのか!?!?」
「いーんじゃね?」
「問題ねーって!」
「……。しかも鋼牙水の上走ってるし…サハラさんとかもう人間業じゃないし。」


(本当ナニモノですか!?)


「浦島さん、あとどのくらいですか?」
「充分です!もう本当充分ですーっ!!」


船は魚でいっぱい。沖に戻り大急ぎで魚を生け簀に。


「浦島さん浦島さん、」
「!」


海に置いておいた船置場のコーナーにくくりつけている時の事だった。前方から浦島を呼ぶ声が。もちろんそれはサハラ達の声ではない。


「誰だ?」
「銀太お前?」
「まさか!つか八角の後ろから聞こえたじゃねーか。俺前!」


小船に乗り遊んでいた、前から鋼牙、銀太、八角はあわあわとしていた。


「おや、誰だろう?」
「!!!、亀!!」


橋の上、浦島の後ろで佇んでいたサハラは八角の後ろにいた亀を発見する。



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