Mermaid 4
私は、まあ、世間で言う呪われた一族の人間である。


「うわぁ!!バケモノだ近付くな!」
「え、でも鞠…」
「バケモノバケモノバケモノ!おかぁさーん!!」


いや、人間、ではないかな。私は人魚だ。だが、妖怪というわけではない。私の一族に妖力はないし、姿だって人間のまま。それでも人々から忌み嫌われる代々短命な一族。

何故忌み嫌われるかと言えば人魚である事もそうだがそんなの公にしなければ解らない。第一の理由私は達一族に宿る巨大な魔力だ。妖怪さながらの力を有していて、そして巫女が持つ霊力とは違う能力。

魔力は本来誰しも持ってる力。精神エネルギーと身体エネルギーを具現化させたものだが一般人はなかなか出来る物ではないが人魚である私達はそれがたやすく出来、その魔力で鳥にはなれないが人魚にはなれるのだ。

善にも悪にも代わる力は人々に嫌われる。



「あ、あなた…!?私の子供に近付かないでちょうだい!」
「バケモノなんて死ンジャエ!」
「全く、なんであんなノがこの村に住んでるのよ…!!」


私を嫌う貴女だって魔力はあるのに。でもそんな理不尽さが世の常。

とにかく、魔力は精神エネルギーと身体エネルギーから織られる故、私の一族は極端に短命なのである。寿命はおよそ30。大嫌いな魔力、命を削る魔力なんて使わなければいいのに魔力を使わないと生き延びられないという悪循環だ。


(そろそろ、村を変えようかな。)


人から逃れるため方方に散らばった私の一族だが今、何人が生き延びているのか。両親も死に、もしかしたら私が最後の一人という可能性だって十分に有り得る。

いっそ途絶えた方がいいのかも知れない。
死んだ方が楽なくらいこの世界は生きにくい。


それでも私が死なない理由はたった1つ。

意地だ。


嫌われ続けた私の一族は村人に焼き払われ滅亡した。

先祖返りをしている私を除けば魔力など微々たるもの。当時の一族の力では到底太刀打ち出来るはずがなかった。――そう、今は亡くなった母が言っていた。だから、私は意地でも生きる。





笑っちゃうよね、食べれば不老不死になれるだなんて言われた人魚が本当は短命だったなんて。確かに魔力を使わなければそれなりに長生きするだろう、でも、それが原因で私達の命は短命だ。

不死不死な訳じゃない。人間に近い「何か」が人間より少しだけ歳をとりずらくなるだけだ。





Mermaid





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