Mermaid 44
夕飯後…


食べ終えた5人はゆっくりと居間でくつろいでいた。
海坊主が出るのは曇りの夜。しかし、たいていは曇りの夜よりは暗雲の立ち込める雨の夜の方が海坊主は出やすい。

シトシトと言う雨の音はまだ聞こえない。それ以前に、空の3分の1はまだ星が瞬いていた。


「ふぁあ……腹いっぱいで眠くなっちまうぜ。早く雨ふらねぇかな……」
「一理あるな。和槙、これだといつ頃現れる?」
「今までの経験上、普通に考えて深夜だな。」
「深夜か…」
「俺、一眠りしてていい?」
「すれば。」
「降りそうになったら叩き起こしてやるよ!」
「普通に起こしてくれ」


そう呟くとサハラの元へより、畳に背中を預ける。


「ちょっと。なんでこっちくんの?あっちで寝れば?」
「ばかサハラ〜ここは普通ひざ枕だろぅ?」
「ひざ枕って……。」


サハラの声は完全に無視し、サハラの太股に頭を乗っけた。


「はぁ…全く。」
「いーじゃねーか。ひざ枕くらい。」
「やだよ。足痺れるじゃん。」
「いやぁ〜でもやっぱそこは男のロマンじゃん!?我慢してやれよ。」
「はぁ?」
「「男のロマンだから。」」
「…あっそ。」


よほど 男のロマン を協調したいのか、再び八角と銀太は声をそろえていった。


「確かに、彼女にひざ枕してもらうのは男の夢かもなー」
「全然理解出来ない。大体彼女じゃないし。」
「え、そうなの!?」
「でもサハラだって腕まくらしてもらいたい、みたいなのあんだろ?」
「腕まくら?…別にないな。」
「なんかあんだろ!夢みたいなの!」
「う……ん………………………………まぁ、あるかも。」
「ひざ枕もそんな感じだ!」
「………あーうん。………そうだね。」


余りの気迫に、流石のサハラも折れ、鋼牙にひざ枕をしてあげる事に。
小さくため息をはき、ふと鋼牙を見ると、既に穏やかな寝息をたてていた。


(寝るの早い…)






シトシト……

「!」


それから数時たち、深夜。
ようやくシトシトと雨音が聞こえてきた。

うつらうつらとしていたサハラ・和槙・八角・銀太の頭は一気に覚醒する。


「雨……」
「鋼牙、起きて。」
「んー……」
「起きろ!」
「いてっ!」
「ゆっくり寝てる場合じゃないよ鋼牙。雨…。」
「本当だ…!いよいよだなァ!!」
「うぁーっ緊張してきた!」
「俺もだ!動悸がっ!」


二人は苦しそうに心臓を抑えた。


「どんだけだよ。もう、行こう。ここでぐーたらしててもしょうがないしね。」
「そうだな!よーし、出発!!!」



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