Mermaid 35
和槙の話の後、サハラ達一行は海坊主が出る曇り空の夜まで、和槙の家にお世話になることになった。


「お前彼女いんの!?」
「そう!もー、マジめっちゃ可愛いんだー♪」


今はその夕飯時、空は雲一つない快晴である。


「ふーん。」


ちなみにサハラは色恋沙汰への興味は皆無。


「ま、サハラより綺麗な女はいねぇと思うけどな。」
「…お前本当仲間馬鹿だな。」
「ひがむなって!しょうがねぇよ、お前も仲間だけどハゲだから。」
「ハゲじゃねぇよ!!」
「ははは、まぁサハラちゃんに敵うかって言われたらそりゃ…、ねぇ?でも俺ん中ではアイツより可愛い女はいねぇ!」
「恋の贔屓だな。」
「ったく、どいつもこいつも…」
「そこまで言うならどんな人か見てみたいな。」
「オッケー!じゃ、今逢わせてやるよ!今日は魚ないし!!」
「魚?」


さぁ、察しはついたでしょうか?
和槙の彼女は…


「じゃーん、俺の本カノ! おゆき だ!真っ白で可愛いだろぅ?」


猫。


「可愛いな!マジで!!」
「なんだ、猫か。」
「ったく。だから欲求不満になんだよ。」
「下ネタ禁止だよハゲ。」
「サハラまで!?」

タタタタ…

「にゃおーん!」


猫…ではなく、おゆきは鋼牙に擦り寄った。


「ん?」
「おゆきーっ!?!?」
「にゃおーん!!」

ゴロゴロゴロ…

「にゃぁ〜」
「懐かれてる!?」
「っぱり狼だから?」


おゆきは鋼牙の膝の上でごろごろと声を鳴らした。
和槙は号泣である。


「…元気だせ。」
「ひっく…おゆきの浮気者ォ!!」


和槙は涙をぬぐいながら部屋をでた。
おゆきはそんなのお構いなしで鋼牙に擦り寄る。


「……なんで?」
「サハラと会ってから猫っぽくなったからじゃね?」
「は?」
「たしかに狼より猫だな。」
「可愛いもんね。」
「サハラっ!」
「にゃぁっ!!」

バリッ

「わっ!」


鋼牙がサハラの頭を小突こうとした時、おゆきにひっかかれてしまった。
手には三本の爪痕。



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