Mermaid 27
*第三者視点
現在、八角、銀太、鋼牙、サハラの4人と何匹かの狼達は海岸沿いに北へと歩みを進めていた。
「海岸沿いに北に行くと「真珠の里」………だっけ。」
「そう!幻の黒真珠があんだぜ〜」
「早く着くといいね。」
スタスタスタスタ…
二人は先頭をきってスタスタスタスタ歩いていた。
走ったらない分、二日酔いの八角と銀太を気遣っているのがわかる。
しかし…
「ゼィゼィ………あ……歩くの早過ぎだろ…あいつら…」
「つか……あれは歩いてに入るのか!?!?…はえーよ…ゼィゼィゼィゼィ………」
歩くスピードにすら、ついていけていない二人だった。
「そういえばさ…」
「ん?」
「なんで鋼牙は八角や銀太みたいに鎧つけないの?」
「あー…昔はつけてたぜ?俺も。」
「そうなの?」
「けどな、雑魚相手だとあの鎧使う必要なくてな、強敵と戦うと鎧ごとアウトだろ?そもそも胸や腹なんて滅多に傷負わないし……」
「ただ重いだけ…って?」
「おう!!それに弥勒に『その格好は露出興ですよ』って言われちまってな。」
なははと笑う鋼牙。弥勒の言葉にサハラは何故か妙に納得してしまった。
「でも仁平にしててよかったぜ。」
「なんで?」
「サハラに抱き着きやすいだろ!」
「………。寒くない?」
「別にー?サハラは寒いのか?」
「まぁ…秋だしそれなりに。だけど鋼牙の方が寒そうな格好してる。」
ごもっともである。
「だ………大丈夫なのか!?」
「………は?」
「か、風邪とか!」
ギュッ!
「!」
「寒い…?」
「……あったかいけどこれじゃぁ歩けないじゃん。」
「あ、そっか!」
「馬鹿。」
腕の中でクスクス微笑む。
「鋼牙に抱きしめられると安心する。すごく暖かくなる。」
「サハラ…」
「私は今まで、抱きしめてもらうのはおろか手をつなぐ事すらなかったから。」
そう言ってまた小さく笑った。
(サハラ自身は気付いてないと思うけど、最近本当によく笑うようになった。すげぇ嬉しい。)
(サハラ、寒い思いなんてさせねぇからな。ずっと、サハラを暖かくさせるから。)
「よーし。走るぞっ!!」
「え?」
ばっ、
強引に背中にのせるとそのまま走り出した。
「へへっ!風が気持ちいいぜっ」
「な、どうした?…突然青春しちゃって。」
「青春か!いいな」
「どうしたんだ本当に…。」
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