Mermaid 22
翌日

鋼牙達より少し早めに起きた私は庭に出ていた。朝の空気は冷えきっていて新鮮で、何処か淋しく感じた。


「式神、灰羅」

ボン!!

「んー、こんな朝っぱらからなんだ…。」
「今日、灰羅の事鋼牙達に言おうと思う。」
「そーか。」
「…いいの?灰羅が嫌なら私はこのまま姿を消すよ。」
「俺は式神だ、主に従うのが式神だろ。」
「会えば…責められるよ。」
「構わないさ。事実だしな。」
「…………ごめん。」
「謝るなよ。」
「もうすぐで鋼牙も起きると思うからしばらくそこに居」
「理由ってこれか?」
「「!!!」」


バッ、と後ろを振り向けば鋼牙がいる。その表情は怒りと驚きと深い悲しみが混ざりあった様だ。
灰羅は確かに責められる事をした。

でも灰羅はもう死んだ、それで全てが許される訳じゃないけど無駄な戦いは避けたい。


「鋼牙…あの、」
「サハラの式神か?」
「うん。」
「そいつがいるから俺の仲間になれないのか?」
「…うん。」
「そいつを殺せばお前は俺の仲間になってくれるか?」
「!?、まだ私を仲間にする気」
「その返答は無用だサハラ、俺がこんなクソガキに殺される訳がない。」
「てめぇ…!」
「昔狼月は俺に言ったよな、俺に大将となる器はないと、やはりだ、正しいのは俺。大将の器ではないのは温い考えを持ったお前達だったのだ!!」
「その親父に殺されたくせにエラソーに何言ってやがる!」
「貴様が言うな、我が一族を滅ぼしおって、この恥さらしが!!!」
「!!!!」
「か、灰羅…」


どうしてそんな事を言うの…?


「こうも言ったはずだ、お前を幸せになどさせない!サハラは渡さない、お前はここで殺す。お前を殺すチャンスをずっと伺ってたんだ。」
「灰羅…!!!」
「灰羅様、だろう、小僧。」
「てめぇ…親父とおふくろの敵…絶対許さねぇ!!」
「ちょっ」
「うぉおおお!!!!!」

ガキィン!!!!

「な、なんだなんだ?」
「ん!?あの姿…灰羅大将!?」


戦いが始まってしまった。どうして?こんなはずじゃなかったのに。鋼牙と灰羅の和平を望んていたんだよ。和平とまではいかない、せめて灰羅が謝罪出来ればって…。あんなに後悔していたのに、どうしてあんな事を言ったの?


「お前ら手ェ出すなよ!!」
「…やっぱりあいつは灰羅大将なのか…」
「でもどうして!?狼月様に倒されたはずじゃ…」
「私の式神なの。」
「「!」」
「サハラの…?」
「理由ってコレだったのか!?」
「…うん。」


二人はしばらく呆気にとられていたがしばらくして灰羅と鋼牙の戦いに視線を移した。その表情はさっきの鋼牙と同じ、怒りと驚きと悲しみ。



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