Mermaid 120
ぱしゅん!
ズキッ


「っ!この記憶……負けたのか…!」

「キャー!」
「…。」
「うぉわー!」


どしゃりと床に伏せた。
サハラは憂慶を抱えたままストンと舞い降りる。


「鋼牙サハラ!」
「乙姫様…」
「お前ら一週間も…!でもよかった…無事で…」
「皆様、お怪我は!?」


4人はそう叫んだ。
鋼牙達は声のする方に目をやる。そこには銀太、八角、太郎、利助の元気な姿。

ただし、手足を縄で覆われて。


「お前らも無事でよかった!」
「皆様方もこれといった怪我もないようですね…。」
「………、」

どん!

「きゃっ」


安心ムードにあやかって、サハラは隙だらけの憂慶の背中を押して八角達の元にやった。
そのまま憂慶達を背にセスタの方へ向く。


「セスタ、最終決戦だ。」
「くっ…丸一日食事もなしにあんな暗闇の中に入れて…卑怯だと思わないの!?」
「卑怯?笑止。これは試合じゃない。ルールなんてない。勝負に卑怯もクソもあるか。」
「っ…!」
「地上に行くよ。」
「誰が行きますか!海中の方が私に有利なのは一目瞭然よっ!」
「なら力付くで連れていくまで。」
「っ…!」


細長い赤眼で睨まれセスタは怯えるばかりだ。

ガッ、と直ぐさま異動しセスタの首を掴む。
薄く魔力を足に纏っているためその速さは尋常じゃない。


「鋼牙!」
「あ、あぁ!!」


手首や肘を上手い具合に曲げて身動きが取れないようにする。首元にはサハラの手、ヘタな真似をしたら一瞬で消されるくらいセスタでもわかった。

ゆっくりと締める力を強めていく。
セスタはじたばたと動くがサハラの手は離れなかった。


「は、なせ……離せ!」
「んな事でできる訳ねーだろ?」
「憂慶、乙姫の力で私達を海上へ。」
「は、はい…」
「海を荒らすかもしれない。魚達を護ってよ。」
「はい!ご帰還お待ちしております!」


それを聞いてサハラは少し嬉しそうに笑うと乙姫の力により海上へと向かっていった。


「ラグーン…」
「っ……。」



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