Mermaid 10
口を押さえていた手を払いのけた。やはり、私と彼は相容れない。


「知った口を聞くな、私に触るな!」
「サハラ…」
「人の価値観はそう変わらないんだよ。私は人間が嫌いだ。妖怪も嫌いだ。一人が好きなの。友達なんかいらない。仲間だっていらない。」
「んな寂しい事言うなよ…。」
「私はこうやって生きてきた。孤独が、私の魔力を育てたんだよ。」
「はは、その台詞悪役みたいだな。」
「悪役で結構。」
「「……」」


珊瑚と弥勒は気まずそうな顔をして、鋼牙も…怒っているというよりは悲しそうな顔をしている。調子狂うな…。


「…本当は、3人共凄くいい人何だろう。」
「「「!」」」
「でも私は違うから。私は皆の善意を善意と受け取れない。裏を読んでしまう。だから、友達にはならない。こんな疑心暗鬼な友達いらないでしょ。故に3人は私の知り」
「「「友達です!」」」
「!?」


声をそろえて3人は言う。こーゆーのを脳天気バカと言うのだとつくづく思った。そもそもあぁも馴れ馴れしい(得に鋼牙)人も食い下がる人も初めてだ。

フツーは私の見かけで疎遠になって、話をしても私のこの刺々しい言葉で離れる。


「サハラちゃん聞いて!私と法師様は奈落って妖怪を倒すためにパーティーを組んでるの!巫女のかごめちゃん。法師の、み、弥勒。退治屋の私。起動力の妖怪母雲。マスコットの妖怪七宝。リーダーの半妖犬夜叉!」
「半妖…、妖怪、人間…?パーティー?」
「そう!他にも妖怪の知り合いは沢山いるよ。私も退治屋の出だから妖怪は嫌いだったけど今は信頼してる妖怪もいる。鋼牙だって!私達は皆変わり者なんだ!」
「変わり者って…」
「だから、サハラちゃんなんかそこらの何の変哲もない一般人と一緒!あ、美人だけど……。サハラちゃんは自意識過剰なの!」
「!」

「ははっ…!」
「はうっ」
「自意識過剰ね、いいかもしれない。」


久しぶりに笑った。自意識過剰…。うん、そうだといい。少なくともこの3人の前ではそうでありたい。


「解った、友達になろう?いや、なってくれるかな、珊瑚。」
「もももちろん!」
「初めての女友達だ。」
「サハラ様私は!?」
「弥勒も。」
「よしっ!これで俺達仲間だなサハラ!!」
「いや、それとこれは話が別だから!」
「え!?」
「鋼牙と共に旅を出来ない理由がまた別にある。悪いね。」
「そ、そんなぁ…。」
「鋼牙欲張りすぎですよ!サハラ様は人間不信なんですから!」
「ばっさり言うなお前は。」
「俺は妖怪だー!」
「そーだサハラちゃん、私達ここから西に2日くらい進んだ所に家があるんだ。今日は子供達がいるからそろそろ帰らないといけないんだけど、よかったら今度泊まりにきてよ!」
「村の名前は?」
「楓の村!」
「機会があったら行くよ。てゆーか子供って、やっぱり弥勒と珊瑚結婚してたんだね。」


弥勒なんてあんなにフワフワしてるのに親とはな、とは言わないでおこう。
それから私は弥勒、珊瑚、鋼牙と共に日が暮れるまで話をした。今日が初対面なのに3人共すごいマシンガントークだったなぁ。

(今日だけで2年分は喋ったよ。)





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