vampire 61
*第3者視点

それから少しだけ月日は流れ、獄寺と宝は家―――宝の家に到着していた。


「あ、上がるぞ。」
「はいはーい。」

「なっ…!?」
「あはは、物ないでしょ。」


いつも通りの雑談しながらの帰り道。最初はいつも通り獄寺の家に向かっていたのだがひょんなことで宝の家に行くことが決まり、今に至る。

生活感があまりないと話していたが、まさかここまでとは。と言った様子の獄寺。それもそのはずで彼が見る限りでは家にある電化製品は小さな冷蔵庫と携帯の充電器、ポット、そしてやけに立派なマッサージチェアのみだったからだ。


「おま……洗濯機とテレビは…?」
「洗濯機は買いに行くのめんどくさくてズルズルのばしてたらこうなった。でもコインランドリー行ってるから大丈夫!!テレビは基本見ないし…一応テレビ携帯あるからそれでたまに見てるよ。」

―がばっ、

「な、何もねぇ!!」
「うるさいなぁ〜」


冷蔵庫の中は空っぽで唯一あるのは麦茶とトマトジュースの入ったペットボトルのみ。


「…もしかして!」


案の定元から設置されてある台所の収納スペースには何もない。
洗いものスペースにはマグカップ5つと紅茶と緑茶用のティーサーバー。箸1セット。本来ガスコンロがあるはずの場所には大量のお茶っぱがおかれていた。


「調理器具も調味料も食材もなんもねぇな…。」
「別にいーでしょー?」


隅に置かれている3つのダンボールのうち2つは多種多様の大量のカップラーメン類と大量のおかし、パン。もう一つは中には何もないがテーブルクロスがひかれていた。

つまりダンボール=テーブル。


「な、ここ机すらねぇ!布団もねーじゃねぇかどうやって寝てんだ!?」
「マッサージチェアの上で毛布だけかけて寝てるよ。」
「はぁ!?」


揚句の果てに、ベットまでないときた。
他の日用品と言えば衛生用品しかない。あ、かろうじで制服用のハンガーはあった。


「服は…?」
「押し入れに放置!あ、でもコインランドリーのあと全部クリーニング屋さんにいって畳んでもらってるから超綺麗だよ!」
「金だけ無駄にあるもんな。」


押し入れの中には服とかばんと靴。通帳・印鑑。
トイレにはトイレットペーパーと生理用品。(流石にむきだしではない。バラバラ落ちるから。)
バスルームにはバスタオルとハンカチが積み重なっており横にあるダンボールには下着が詰まっていた。もう一つのダンボールにはおそらく今まで着ていた衣類がほうり込まれている。(コインランドリー用)


「本当ありえねぇ…物なさすぎだろ!」
「そうかな?」
「そうだよ!しかもハンカチとかだけ無駄に多いし。コインランドリー行くのめんどくせーんだろ!?」
「当ったり〜」


そして、床にまとめて置かれている大量の雑誌と本と漫画とゲーム。何故かテレビがないのにテレビゲームまである。



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