vampire 40
*宝
「宝!遅れちゃうよ!!」
「ん、あー…。私見学だから先に行ってて!」
「え、見学??」
「太陽、弱いんだよね。」
「は?あんたアレルギーなの?」
「まぁそんなかんじ。」
今日から体育でサッカーが始まった。つまり屋外。私は日に弱いから屋外の体育は見学である。特別体育が好きだと言う訳ではないが皆がワイキャイやってる中一人だけ見学というのは寂しいものがある。
京子は私が吸血だと知ってるからすんなり受け入れたけど花は不思議そうな顔をしていた。
(ちにみに体育の見学理由はシャマル先生のご尽力あっての事である。)
「……外に居てもクラクラするだけだしなァ。」
――サボるか。
うん、そうしよう。涼しい教室の中で休んでよう。でも、となると自分の教室だけど施錠してるしなァ、かと言って保健室ってのも微妙だ。校長室は無理だし…、あ、応接室とか良いんじゃね!?そうだ応接室なら多分誰もいないし、―あ!
「……部室だな…!」
良いこと思いついちゃった。応接室には予備の制服あるからね、アレと演劇部のカツラとサラシを借りようじゃないか!!
どうせ誰も見てないし、とMAXスピードで演劇部の部室に半ば無理矢理侵入しサラシとヅラを装着。50分しかない授業をフル活用するため高速で応接室に向かった。
バキッ!!
「あ。」
どうせ開いてるものと思い思いっきりひねったらどうやら鍵が着いていたらしく勢い余って壊してしまった。まぁ壊してしまったものは仕方ない。
中に入ると、
「……キミ、噛み殺す。」
「え!?」
なんと生徒がいた!!だ、誰!?何で授業に出てないの!?この不良少年め!!
「キミ名前は?」
「…………。」
「ワオ、僕を無視する気?」
カツラとサラシを巻いてるんだ、どうせ私が誰かなんて気付かないだろう。テキトーに制服をかっぱらって逃げよう、時間がもったいないからね!
「…すいまっせぇーん!!!」
シュッ ガチャガチャガチャガチャ!
「なっ…!?」
「あった!!」
「ちょ、」
「ちゃんと授業には出るんだよ不良少年!」
5つめのロッカーにあった衣服を奪い直ぐさま逃走した。足には自信があるんです、人間ごときが追い付けると思うなよ!!
獄寺の教室がある階の男子トイレに入り直ぐさま着替えた。制服はブレザーだと思いきや学ラン。何でロッカーに学ランが?彼はもしかしてレイヤーさんだったのだろうか。とりあえず明日こっそり返せばいいだろう。
――私の思い付いた暇つぶしとはもちろん、感づいた方もいらっしゃると思うが変装して獄寺のクラスに潜入する事である。
(サイコーの暇つぶしでしょ!)
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