vampire 374
長い長い…夢を見た。


「すっげーな、アメリカ人みてーだ。」
「金髪碧眼だからね!ちゃんと私だって解る?」
「ったりめーだろ?あーあ、でも折角の美髪だったのになぁ。」
「いーの!私一度金髪にして見たかったし!!」


そこはさっき獄寺と荷解きをした部屋とよく似ている。そして目の前には金髪の女の人と…多分、大人になった獄寺がいた。
なんかすっかり背も高くなっちゃってかっこいいなぁ。


「それって、過去の俺達がお前が宝だって気付かないように?」
「うん。私が隼人のお嫁さんって過去の隼人が知ってたらヴァリアーの屋敷でのおもちかえりが台無しになっちゃうじゃん。」
「ふーん?俺は宝だって解ってもいいと思うけどな。」
「ダメだって!!」
「まぁ、解らんでもないが。」
「、ちょ…」


あ……、獄寺は女の人にキスをした。でも私はヤキモキなんかやく気にはならなくて…あぁ、きっとあの人は私なんだろうな。


「相変わらずのキス魔だね!」
「宝だって好きだろ?」
「私の好きと隼人の好きを同じにしないで下さいー」


な、名前で呼び合ってる…!


「あ、隼人…もう、行っちゃうの?」
「あぁ。ボンゴレリングを持った俺達とミルフィオーレを闘わせて奴らを潰さないとならねーからな。」


否、本当は違う。「ボンゴレリングを持った自分達とミルフィオーレを闘わせて潰す」じゃなくて「10年前の自分達を育てるためにミルフィオーレと闘わせる」だ。

不思議な感覚。あそこに居る私の気持ちが解る。凄く凄く、寂しそうだ。


「隼人…!!」
「ん?どうしたんだ?」
「…………。」
「どうしたんだよ?」
「…寂しい、な。」
「宝…。大丈夫だ、俺は死なない。俺は十代目を救えなかったでも!宝だけは護るから。」
「そんな事言って…」
「俺を信じろ。愛してるぜ、宝。」
「隼人…」
「全ての戦いが終わったら、な。行ってくる。」
「…いってらっしゃい!」


獄寺はもう一度私にキスをした後にっこり笑って部屋を出た。もう当分は獄寺には会えない。ミルフィオーレとの戦いが終わるまで…。


「隼人……。」


それから私は基地内でラル達がやって来るのを待っていた。ラル・ミルチ。私はその女の人を知っている。
夜になって獄寺が「私」だと解らないように飾ってある写真や手紙を押し入れに隠した。隠しながら昨日、体を重ねた後獄寺が何かをガリガリ書いていたのを思い出す。

私獄寺とシたことないのにとっても変な気分だ。

そもそも、これは本当に夢なのかと思ってしまう。夢にしては余りに時間はゆっくりで、お風呂に入ったり夕食を食べたり。知らない人を知っていて、「私」の気持ちが不思議と解る。
言葉にできない妙な感じ。でも、とっても心地好くて、私は「私」だった。
時間が経つにつれ、私は傍観してる意識がなくなってあそこにいる私と同一していく。


「今頃何してるのかな…。」


獄寺がくれた婚約指輪を眺めて、私は一人思いを馳せた。



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