vampire 35
――ガチャッ


「ただいまー………あれ?」
「し、失礼します……」


二人は獄寺の家に到着していた。


「チッ…瓜、遊びに行ってやがる。」
「え!?そうなの!?!?ラッキー!!」
「いなくていい時はいるのに、こーゆー時に限って出かけるんだよなあいつ。」
「ま、いないなら仕方ないよね〜、あぁよかったよかった!!」
「まぁ、いいか。…明日から毎日俺の部屋に来るんだしな。」
「………そう、でした…。」
「覚悟しとけよ。」
「か、覚悟って!?!?猫に慣れるだけだよね!?」
「さぁな?」
「獄寺ーっ!!」
「ははは。」


ぽんっ、と頭を撫でるとそのまま部屋の奥へと進みやけに軽いカバンとブレザーを投げ捨てた。苺を冷蔵庫に入れている間に宝も部屋に入りソファーにダイブ。


「んぁあー…獄寺の部屋落ち着くなー。」
「羽のばしすぎだろ。別にいいけどよ。」
「にしし、ここ獄寺の匂いでいっぱいだね!幸せー!」
「俺の部屋だからな。つか邪魔!座れねーだろ!」
「え〜…じゃ、一緒に寝ましょ。」
「寝られるか!」
「もーしょーがないなー。」
「お前どんどんフリーダムになって行くな。」


宝は渋々身体を起こしやっと獄寺はソファーに座れた。隣にいる宝は早くもウトウトしている。


「はしゃぎ過ぎて疲れたか?」
「んー…そうだねぇ。」
「寝ててもいいぜ。夕飯作ってやるから。」
「ここさぁ…」
「無視か。」
「獄寺のいい匂いでいっぱいで…すんごい落ち着くんだよねー。」
「猫の匂いはしねーのか?」
「そ、それもするけど…、獄寺の方が私には強力!ねえギュッてしてよー。」
「お前はまた…」
「ハグくらいいつもしてるじゃん。」
「そうだっけ?」
「そうだよー。」
「まぁいいけどさ。こっちこいよ。」
「にへへ。」


ギュッと抱きしめると宝はやっぱりひんやりとしていた。


「お前体温何度?」
「んー?35度くらいかな。」
「じゃぁちょっと低いだけか。ひんやりしてるからもっと低いのかと思ってた。」
「あぁ、冷え症だから表面が冷たいだけ。右手とか獄寺がずっと握ってたから温いよ。」
「――あ、本当だ、生温い。」
「だから今背中からあったかいのがじんわり来てすごい気持ちいいんだー」
「寝る気満々じゃねーか。」
「獄寺もまんざらじゃなさそうだけど?」
「まぁ、そうだけど。」


ぎゅーと抱きしめていると宝の身体も徐々に暖かくなる。本格的にウトウトしてきた。


「――あ、やべ、寝そう。」
「ママン、ご飯ないと困るよ。」
「ママンじゃねーよ!」
「でもパパンというよりはママンだよね。」
「せめてマスターとかにし…つかお前この前召使宣言してたじゃねーか!働け!」
「現在の獄寺の抱きまくらという任務を真っ当している最中でございます、ハイ。」
「はー…。ああ言えばこう言う。」


ふわりと頭をひとなですると身体を離し台所へと向かう。


「うぉ、なんか寂しいぞ!ふとーん!」
「寝るならソファーじゃなくてベッドにしろよ、お前スカートなんだから。」
「え?わかったー。」


獄寺ママン、始動であった!!



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