vampire 27
それから2週間、宝が獄寺に会う事はなかった。
昼には来ているのかもしれないが宝とツナ達は一緒にご飯を食べてるわけでもなし、クラスも獄寺は理系、宝は文系で教室が結構離れているのですれ違う事もなし。
そんなある日の教室移動中。
「じゃぁ私達係の用事あるから先行くわね。」
「ごめんね宝っ!」
「いーや、大丈夫。」
「宝っ!一緒に行こう!!」
「おうよ!」
花と京子が去るなり他の女子がたむろう。
ほっとけば人が集まる人気者。クールでかっこ綺麗な性格と容姿が彼女をほって置かない。特に女子は。
「今日理系校舎だっけー、移動めんどくさいよね!」
次の時間は美術だ。
これからは顕微鏡で見たものを彫刻するのだ。故に理科室への教室移動。
「ん…苺のにおいする。リップ?」
「えっ、うん。」
「美味しそう!」
「もー宝ってば!えへへ…」
そんなとき、
「日和!」
誰かが後ろの方で宝を呼んでいた。
「宝、呼ばれてるよ?」
「空耳かと思った。…ごめん先行ってて。」
「え?」
「おい日和!」
宝はゆっくりと振り返る。
その先には
「久しぶりだな、2週間振りか。」
「そうだね!元気そうで安心した。」
走って宝に寄ってくる獄寺隼人の姿。
「きゃっ、獄寺くん!?」
「やだカッコイーっ!」
「日和も元気そうで安心したよ。」
「そんなにヤワじゃないからね。…でも、あの件は獄寺のおかげだから。」
「ま……まぁな、十代目から聞いたぞ。ボンゴレの事。」
「ごめん、弱くて。せっかく獄寺があそこまで言ってくれたのに。」
「バーカ。大体俺は日和に感謝される程大層な事やってないぜ。」
さわっ、と頭を撫でると、そのまま頭だけ抱きしめた。
「獄寺にはそのつもりなくても私にはありがたかったから。」
「………お前、そのネタやめろ。」
「照れるから?」
「照れてねぇよ」
「そうですねご主人様。」
「なっ、お前果たす!絶対わざとだろそれ!!十代目にすげぇ聞かれたんだぞ!」
「知らないねそんなの。まぁ意味変わんないしノープロブレム!!」
「ありまくりだっつの!誤解が生まれるわボケ!!」
「ははっ…!」
クスクスと笑う宝に獄寺はプンスカ。
「なんだよ日和、笑ってんじゃねぇ」
「笑ってない堪えてる。」
「尚悪いっつの!…ったくよー…」
「あはは!」
ぽんっ、と軽く頭を叩くと腕を離した。
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