vampire 90
それからしばらくし、エリザベスとスワン総督、そして宝と獄寺は総督公邸へと向かった。理由はもちろん、海に落ちたエリザベスの体を綺麗にする為。……そして今、


「ごめんなさい待たせてしまって…。」


綺麗に着飾ったエリザベスとともに、4人は書斎室に集まっている。


「えー…この度護衛に参りました、ボンゴレ嵐の守護者。獄寺隼人と、」
「パートナーのテミスです。」
「あなたが隼人君のお気に入りですか!なるほど、お美しい方ですね。」
「え!?なんスかそれ!?!?」
「ボスがおっしゃっておられましたよ。」
「十代目…。」
「エリザベス・スワンです。先程は助けていただき…」


エリザベスは宝の顔を見ると、言葉を止めてしまった。


「エリザベス様…?」
「お名前を…もう一度聞いてもよろしいですか?」
「テミスです。」
「アメリカの方…ですよね?」
「はい。」
「エリザベス、何を言ってるんだ?」
「宝に似てる……」
「「!!」」
「そう言われると…顔立ちがそっくりだ。だが、そんな偶然有り得ないだろう。夢を見るのはおよし、エリザベス。」
「…そうよね…、ごめんなさい。8年前忽然と消えてしまった妹と…そっくりだったのでつい…。」
「今、でも………好きですか…?」
「当たり前です!宝はもう、私の事なんて嫌いだと思います。それでも私は……」
「っ………。」
「会って一言、謝りたい………」


するとわっ、とエリザベスは泣き出してしまった。スワン総督は必死に慰める。
宝の震える手を、獄寺は握った。


「ヒック……ごめんなさい、突然。」
「い、いえ…」
「あの、……抱きしめて貰ってもいいですか…?」
「え?」
「お願いしますっ…!」
「いいですよ…私でよければ…。」


優しく優しく、包むようにエリザベスを抱きしめる。そう小さく自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。ぐっ、と抱きしめる力を強める。スワン総督と獄寺は、悲痛そうに二人を見つめた。

刹那


「違うわ!!」
「!?」


エリザベスはばっ、と宝から離れる。



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