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「#エロ」のBL小説を読む
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仕事のスイッチがオンオフしっかりしてる人っていますよね。

その典型的な例だと思うんです、土方十四郎という人間は。あのキビキビしている姿とは大違いな姿を見る事が出来る人は少ないだろう。
机に突っ伏して丸まっている背中は何だか可愛くて、いつものシャンと伸びている背筋も好きだけど私はこっちも好きだなと思う。

散らばっている資料を軽くまとめてこれまた散らばっているタバコの吸殻を捨てた。あと換気、空気悪いなこの部屋。
ふわりと新鮮な空気を取り込んで、隣に座ってみる。あ、口少し開いてる。

「疲れてるならやばくなる前に休んでくださいよ」

文句もきっと彼には届いてないだろう、だって夢の中……って、あれ。
いつの間にか土方さんの目はうっすらと開いていてボンヤリとだがこちらを捉えている。
寝ていたせいかいつも冷たい手のひらは熱くて、触れた手からじんわり熱が伝わってきた。

「……起きましたか?」
「…まだ、ねみぃ」

寝起きだからかしゃべり方も覚束無くて、でも何だか可愛い。

「眠いなら布団引きますから、ちゃんと寝てください」
「仕事、あんだよ……」
「今にも寝そうな顔して何言ってるんですか」
「名前、」
「何ですか」

ゆらりと土方さんの体が傾いてきて、頭が私の膝の上に乗る。顔をお腹にぐりぐりと押し付けられて苦しいのと、少しくすぐった。
やがて良いポジションが見つかったのか息を小さくはいて動かなくなる。え、この体勢で寝るんですか。

「1時間、したら起こせ」
「起こさなかったら?」
「……このまま夜までねる」

体内時計が正確な土方さんが人の手を借りるなんて、本当にめずらしい。
だからきっと、私は起こさない。
そっと艶やかな黒髪に触れて、そのまま優しく撫でてやる。そうすると少しだけ土方さんの顔が和らぐ。

「おやすみなさい、土方さん」
「……ん」

少しでもあなたがゆっくり休めるように。
自分だけの特権に浸れるように。

title by確かに恋だった それは甘い20題