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熱も下がり完調した私は朝早くから市中を歩いていた。休んだ分いつもより広い範囲で聞き込みをしたり同じ人に二度聞いたりもしたが、やはり収穫はなし。

「……ダメか」

ため息をつきそうになって誤魔化すように伸びをする。そろそろ寝坊常習犯の隊長も起きる頃だしファミレスで飲み物でも飲んで戻ろうと扉に手をかけた瞬間、中から爆発音がした。……何、今の。
不安を抱えたまま中に入って煙臭さに顔をしかめていたら焦げている山崎さんと原田隊長が転がっているのが見えた。

「……何してんですか」
「あ、名前ちゃん……げほっ」
「ファミレスで何やらかしたんですか」
「冷たい目やめて、やらかしたの君のとこの隊長だから」
「え」

山崎さんが指差している方向を見ると、誰か女の人と話している隊長の姿が。綺麗な、人。
思わず見とれていたら「隊長の姉君だよ」と山崎さんが教えてくれた。

「……姉君?」
「そう、いつも激辛煎餅送ってくれる」
「…………」

お姉さんいたんだ、隊長。
確かによく見れば似ているかも、隊長もいつもよりあどけない表情でなんか嬉しそうだし誰あの人状態だ。……それ見てたのバレて怒らせたのか。
私は2人から離れて隊長の近くまで行くと伝票を手に取り問答無用で隊長の頭を叩いた。案の定怒ったような目を向けられる、でも昼間から公共の場でバズーカぶっぱなす人がいますかバカちんが。

「ってぇな……何すんで、あ」
「あ、じゃないですよファミレスでバズーカなんかぶっぱなして始末書誰が書くと思ってんですか」
「おー名前ちゃんじゃん」

軽く片手を上げてへらり、と笑っているのは万事屋を開いている坂田さん、彼は何かと真選組と縁があるらしく今も隊長に巻き込まれているのだろうか。
沖田隊長のお姉さんは私を見ると優しげに微笑んだ、

「総ちゃん、この子は?」
「一番隊の隊士です姉上」
「まあ…今は女の子も隊士に入っているのね」
「名字名前です、初めまして」
「沖田ミツバです、総ちゃんがお世話になっています」

……何て出来た人なんだろう。
弟がこれだとやっぱり姉はしっかりするものなんだろうか、ミツバさんはどことなく嬉しそうで綺麗な笑みを浮かべていた。でもその笑顔が綺麗すぎて儚く見える。
万事屋さんはテーブルに肘をつきながら「つーかよ」とチンピラ丸出しで口を開いた、

「最初っから名前ちゃん呼べば良かったんじゃねーの?」
「旦那、こいつは友達じゃありやせん。下ぼ…部下です」
「はっ倒されたいんですか隊長、この始末書は自分でやってくださいね」
「あ、ちょ、ごめん嘘だから」
「ふふ…総ちゃんったら、女の子とも仲良くなってたのね」

お姉さん、どこが仲良く見えるんですか。
なんて言いたい気持ちを押さえて2人を見守る、姉弟水入らずのところに万事屋さんがいる意味は分からないけどなんか楽しそうだし良いのかなこれで。
というか、お姉さんいるなら言ってくれればいいのに。……もしかして、気遣ってくれてたとか。

……なわけないか、隊長に限って。
一人で納得して帰ろうとしたがミツバさんに「よかったら一緒に行かない?」と誘われて、成り行きで一緒に歌舞伎町を回ることになった。
お姉ちゃんがいたら、
もしもこの場にお姉ちゃんがいたら、
もっと私も笑えていたんだろうか。

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