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「ねえねえ」
「ん?」
「いつも何聞いてるの?」

隣の席の女子、名字名前は飲んでいたパックのジュースを置いて俺を見た。
今までクラスが同じでも特に話したりするわけではなく、席だってくじ引きで隣になっただけ。そんな名字が人なつこく笑ってこっちで見てた。そして俺の耳にあるイヤホンを指差す。

「……聞くか?」
「ほんと?ありがとう」

片方抜いて差し出せば嬉しそうに手にとって自身の耳にはめる名字。
瞬間その表情が漫画みたいにパッと輝いた。そして興奮した様子で俺に詰め寄る。

「財前君、この曲好きなの!?」
「お、おお」
「私も好きなんだけど結構マイナーだから他の友達誰も知らなくて……」
「ああ、あまり表立ってやらへん人やからな」
「だよね!でも有名になってほしくないなーって思う」
「分かるわその気持ち」

いつの間にか体ごとこっちを向いて嬉しそうに話を聞く名字。耳から流れてくるBGMがいつもよりも心地よくて、時々名字の話声で遮られたけどそれも気にならない。でも片方ずつ繋がってるイヤホンが何だか恋人同士がする行為みたいで柄にもなく意識してしまいそうになったから曲に夢中になってる名字の顔を盗み見てみた。睫毛長い、髪とかもサラサラしてて、少し良い匂いするかも。どこぞのエクスタシー部長の顔が頭をよぎってブンブン首を振って何とか消した。なんてそんな事をしていたら名字がこっち向いて笑って少しだけドキッとした。

「私この人の最新のアルバム買っちゃったんだ」
「ええな、あれ高くて買えへんかったわ」
「よかったら貸すよ、感想聞かせてほしいし」
「せやったら限定版の画集貸すわ」
「ほんと!?あれ間に合わなくて通常版しか持ってないんだ」

ありがとう!と満面の笑みを浮かべる名字。
また少しだけドキッとする、何やねんこれ。

「明日持ってくるね」
「ん」

普段は限定版の画集なんて他の人に貸さんし勢いで言ってしまった事だけど、まぁ悪い気はしなかった。
限定版の画集見たら、こいつはまた嬉しそうに笑ってくれると思ったから。

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あららわりと簡単にfall in love。
こういう展開が意外と似合っちゃう男、財前光。付き合っているというよりはひたすら片想いな、感じがします。そしてしれっと謙也とかに取られちゃうみたいな。