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パンパカパーン!紳士淑女のみなさん!オレ、生まれ変わりました。

いや、ぶっちゃけ嘘だろって最初何度も思った。でも在り来たりに頬思い切り抓ってみたら痛いし、夢だと思ってる時点でまず夢じゃないだろうし、何より決定的なのが自分が死んだ場面を一部始終覚えてるってことなんだよなぁ……。いやはや、まさかあんな死に方するとはオレ自身思ってもいなかったというか、恥ずかしすぎるからこれはオレの心の宝箱(笑)に仕舞っておくことにする。

今までテレビとかで『前世の記憶があるんです……』みたいなのが流れてても、んなわけねぇだろ演技乙(鼻ほじ)って感じで流してたが、いや、まじですまんかった。オレあんたらのこと全力で信じるわ。でもこの体験はオレ以外にしたことあるやついないと思うんだけど……いや、オレに起こってる時点でもしかして無きにしも非ず……か?まあ、それは今は置いとくとして、とにかくな、オレが生まれ変わった場所が普通の人が聞けば『こいつ頭大丈夫?』とか『やばい現実を二次元を混沌させてる』とかきっとそんなことを言われるような場所なわけよ。しかもオレ、ただの生まれ変わりじゃなくて、とある人物に成っちゃってたっぽい。この時点ですでに『何言ってんだこいつ』状態であることをオレは理解しているので変な目で見ないでいただきたい。

クロロ=ルシルフル

彼の名前を知っている人は多いんじゃないだろうか。そう、HUNTER×HUNTERに出てくるA級賞金首、泣く子も黙る幻影旅団の団長だ。……薄々お気付きの方もいるかもしれない。実を言うとオレはその人物、クロロ=ルシルフルになってしまっていた!!オーマイガッ!!!

なんというか、原作を隅から隅まで読んでいたオレとしては複雑なわけだわ。だってこいつ、というかオレ、流星街に捨てられるわけじゃん?そんで幻影旅団、通称蜘蛛とかいう中二病みたいな集団作るわけじゃん?そんでそんでクラピカにボコられて胸に鎖刺されるわけじゃん?そんでそんでそんであのヒソカにも追いかけられるわけじゃん?うわー……考えただけでもつらいわ。特に最後。別にヒソカ嫌いじゃなかったというかファンとしては好きだったけど現実となれば話は変わってるよな。

と、いうわけでオレは捨てられないように良い子チャンを演じました。
結果、気味悪がられて捨てられました。
嘘だろ!?ってなったわ。十回くらいなったわ。だって俺めっちゃ良い子チャンやってたのに若干四歳にして捨てられるなんて思わねーよ。大体四歳の子を流星街に捨てるなんて死んでくれと言ってるもんだろ。当然そんな突っ込みを入れられる両親はもうすでにいないので一人で拗ねましたけどね!!!

捨てられたオレは戸籍がなくって晴れて流星街の仲間入りした。いやぁ、鼻が曲がるほどの臭さだわ!正直最初は臭すぎて慣れるまで嗚咽ばっかで息まともにできてなかった。でも人間ってすごい。というかオレがすごい。適応力半端ない。ものの一日で慣れました。そして慣れてから一週間経ったところでパクと出会いました。もう流星街に捨てられた時点でフラグだから気にしてなかったけどなんというか、それからトントン拍子に事が進むものだから、逆に面白かったわ。


「これからオレ達は幻影旅団として活動する」


オレが頭でお前達が手足。内容は主に窃盗、たまにボランティア。全てが説明し終えたとき、大半の連中がうずうずとしていた。ウボォーやノブナガ、フェイにフィンクス、血気盛んなやつらなんかは瞳がキラキラと輝いてるようにも見える。

結局オレは幻影旅団の道を歩いていた。捨てられた時点でいつか流星街を出ると心に決めていたがここにいればそうなるのは必然的だったことなのかもしれない。オレが捨てられた場所は狙ったかのように流星街の中で一番治安が悪かった。何かオレ達がしようものなら銃弾が飛んでくるし、中には念能力者もいた。まぁ、そいつのおかげで精孔が開いたから感謝しているが。マフィアによって死体もよく捨てられるせいか大量の血も死体も恐怖を抱くものではなくなった。気付けば人を殺すことが悪い事だと感じなくなった。

ゴンが原作で言ってた『何でその仲間に向ける優しさをお前らが殺してきた人達に分けてやれなかったんだ』っていうのは、今なら十分理解できる。仲間は家族であって、殺してきたやつらは赤の他人だからだ。少なからず、一般人はきっと家族の愛を知って育ってきたんだろう。ゴンにはミトさんがいるし、キルアにはわかりにくいのかもしれないがちゃんとキルアを思う家族も執事もいる。クラピカだってそうだ。十分両親の愛情をもらっていたじゃないか。オレ達はその愛情を知らない。知らないからこそ唯一の理解者でいてくれる仲間は大事にする。そして足りない欲を満たすために己のやりたいようにする。


「今夜は期待してるぞ、ウボォー」
「任せとけ!大暴れしてやるよ!」
「団長、ウボォー期待しすぎたら調子乗て大暴れしすぎるよ」
「フェイの言う通りだな。宝を壊さない程度に頼む」
「わぁったよ!」


ガハハと豪快に笑うウボォーは本当に仲間思いのいいやつだ。

クルタ族への襲撃はすでに一年前にやった。だからクラピカは今、きっとオレ達に対する憎しみを糧に生きているに違いない。ウボォーを殺させないようにするのならクルタ族を襲わなければよかった話だが欲しいものは奪う、それが幻影旅団だ。別に原作に忠実にしようとしているわけではなく、本能のままに動いた結果である。それにオレは絶対にウボォーを見殺しなんかに、クラピカのやつに殺させやしない。もちろん、パクだってそうだ。たしかにオレはここまで出来上がっていた道を進んでいたが、かといってこれからもそうだというわけじゃない。シナリオは全て、オレの中で書き換えられるのだから。

愛を知るには遅すぎる

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