06



セブルスとの勉強を終えた後、俺は図書館に向かっていた。扉を開け、室内に入ってみると圧巻した。
想像以上の本数だ。これは、一生かかっても読みきれないかもな。

本棚の間を歩き、気になった本を数冊取っていく。俺は、魔法に関してはマグル――魔法の使えない一般人のことらしい――と同等だ。錬金術は使えるものの、魔法なんて信じていなかった。まぁ、ダンブルドアやセブルスに見せてもらって信じるしかなかったが。


そして、俺にも魔力があるらしい。しかし、魔法は今だに使っていない。
どうやら、魔法を使うには杖が必要になるらしく、持っていない俺は使えるはずもなかった。

杖は明日、買いに行くらしい。他にも、学校で使うものも買う。教科書やら、ローブやらだ。費用は全部、ダンブルドアが持ってくれる。なんていうか、頭が上がらないな。

その代わりに、俺にやって欲しいことがあるらしい。それについては、明日話すと言っていたがいったいなんだろうか。
勿論、俺に出来ることがあればやるに決まっている。



両手に抱えた本は5冊になっていた。どれも分厚いものだから、前が見えづらい。そういえば、言っていなかったあの若返りの薬の効果は3日経つと効果が切れる。今日で3日目だが、まだ効果は切れていない。まだ、元には戻っていないため色々と不便だ。

それと、すぐに身体を戻す薬も貰った。これは、いざというときのために使え、とのことだ。そりゃ、11歳の子供がいきなり大きくなったら大変だ。誤魔化しも聞かないだろう。そんなことにならないようにしたいものだな。

「とりあえず、こんなもんで良いか…」

手に取った本は、全部で7冊。その内の、5冊は魔法や歴史に関する本だ。ホグワーツの歴史やら、魔法界の歴史、呪文集、薬学に関する本を選んでみた。そして、残りの2冊は錬金術に関する本を選んだ。

錬金術の本は、たまたま見つけたものだが、俺のいた世界と、こっちの世界の錬金術はちょっと違うらしい。俺の研究も含め、一度目を通してみたい。

近くにあった机に、本を置けば1冊を手に取り早速読み始めた。


「ルキフィス、おい…聞いているのかね」

「ん?」

呼ばれたような気がして本から顔を上げてみれば、そこにはセブルスがいた。あれ、何で此処にいるんだ?

「部屋にいないから探していれば、ずっと本を読んでいたのか?」

「そうみたいだな。集中すると、周りが見えなくなるんだよな…ありがとな」

どうやら、読み始めてからかなりの時間が経っていたらしい。最初に持ってきた本だけではなく、机の上にはかなりの本数が散らばっていた。集中すると周りが見えなくなるのは、少し治したほうが良いのかもしれない。


「これって貸し出し出来るよな? んじゃ、今片付けるから…」

そういって、席を立とうとしたときセブルスが杖を取り出し一振りすれば、本が浮き出しすぅっと動き出せば元の場所に収まった。魔法って、すげえ楽だな…。


「早くしろ、置いていくぞ」

「今行く…っ!?」

本を持ち、セブルスに向かおうとしたときだ、全身に成長痛のような激痛が走り思わずしゃがみこみそうになるが、歯を食いしばり痛みに耐えた。痛みは長くは続かず、すぐに痛みは引いていった。

「どうやら、薬の効果が切れたようだな」
「薬って…あぁ、あれか。つか、マジでいてぇんだけど」
「言ってなかったか?」
「聞いてねぇよ!」

いつもの見慣れた視界にほっと胸を撫で下ろすも、毎回こんなんじゃ、大変だな…。
というか、痛みがあるなら先に言ってくれよ…。そうすれば、少しは対策っていうかまぁ、何と言うか…。いきなり吃驚しなくてすんだのに。

そして、セブルスと共に肩を並べて、部屋へと戻った。なんか、今日は疲れたからそのまま寝よう。明日は出かけるんだし、丁度良いだろう。

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