04


「あー、ぽっきり折れちゃってるね…。痛くないの?」


そう言われたのはついさっき。その前に、今までの状況を整理させろ。


俺が静雄に連れてこられたのは闇医者のところだった。静雄はつくと早々チャイムを鳴らさずにドアを蹴り飛ばしていた。ちょ、と思う間もなくずかずかと中へはいっていた。…良いのか?

「ちょ、またドア壊れたじゃないか! ちゃんとチャイム鳴らしてよ!」

部屋から出てきたのは白衣姿の実年齢より幼い印象を抱く男性だった。静雄は「悪い。」と一言。


お前、全然悪いと思ってねぇだろ。


と、内心呟くが内緒だ。


「で、今日はどうしたの?」


「コイツ、見てやってくれ。」

と、静雄は言えば俺をずいっと前に突き出す。闇医者と目線が合う。
どーも、居心地が悪いが…とりあえず。


「…どーも。」


「初めまして、岸谷新羅です、よろしくね。」

「ルキフィス・エルリックだ。よろしく頼むぜ。」

そして、冒頭に戻る。


「えーと、それじゃ…診察したいから、上着脱いでもらっても良い?」


「え、マジで?」


固まる自分。いや、別に脱ぐことは構わないが、問題は機械鎧だ。何て言われるかなァ…。特に静雄。
まぁ、良いか。そう思い、Yシャツに手を掛ける。ボタンを一つ一つ外していき、脱いだ。
ちょっと、脱ぐときに腕に触れて痛かったが、これくらいは仕方ない。

「ちょ、! 何だよ、その腕!」

やっぱり、突っかかってくるのは静雄でした。俺は「いや、…義手?」と微妙な返答をした。
新羅は機械鎧を見ながら「オートメイルだよね、それ。」という。俺はその言葉に無言で頷いた。


「別に、俺の国じゃ機械鎧も珍しくねぇよ。俺の幼馴染も技師だしな。」


「出身は?」

「アメストリス。つか、改めて自己紹介するわ。アメストリス軍、中央司令部所属ルキフィス・エルリックだ。そして、国家錬金術師でもある。二つ名は氷結、そして階級は准将だ。」

にやり、と意地の悪い笑みを浮かべて二人の顔を見る。二人はぽかんとした表情のまま固まっている。
いや、あの…少しは反応してくれねぇとなんともいえないんだが。


「え、は…? 軍人? お前が?」

「あぁ。」


「へぇ、人は見かけによらないんだね…。」


おい、それはどういう意味だ新羅。


とまぁ、こんなやり取りを10分ほどしてやっと診察に入った。

「で、どうしたの? これ、」

テキパキ診察している新羅に聞かれれば一度だけ静雄の方を見てはけろりとした顔でいった。

「静雄に折られた。」


「は?」


何回間抜けな返答を聞いたろうな…と呆れ紛れに思うルキフィスだった。

**

適切な処置をしてくれた新羅にお礼を言い、俺らはソファに座って雑談していた。新羅は珈琲をだしてくれたのだが、やはり機械鎧だと細かい動作がしにくい…。どうせなら、機械鎧のほうを壊し…いや、それもそれでウィンリィに何て言われるか知れたもんじゃねえな。


その時、玄関の方からなにやらどたばたと忙しくこちらに近づく音がした。疑問を浮かべる俺だが、同居人でも帰ってきたんだろ、多分。

珈琲を手に取り一口飲んだ。美味いな…、とのん気なことを考えていればガチャリとドアが開いた。其方を向けば黒尽くめで、猫耳のようなヘルメットを被っている。なんつーか、すげぇな。そして、慌てたようにPADを取り出し文字を打ち、それを俺、新羅、静雄に見せた。

【し、新羅! 家のドアが壊れてるんだが、どうしたんだ!?】

「静雄がまた壊したんだよ。まったく、修理代も大変なのに…。」


「なら、俺が直すか?」

新羅たちの顔を見ながら普通に、当たり前のように言って。静雄は「直すって…あのドアをか?」と逆に聞き返された。ドアは真ん中がへこんだなんとも変な形になっている。けど、それはまだ原形をとどめているし、ちゃんと部品もそろっている。それを再構築するのは簡単だ。


「え、直すって…、ドアを?」

「おう。」


そう一言言えば、立ち上がり玄関の方へ行く。そして、ドアを見ながら原材料など色々考えていた。「…よし。」と呟けば、三角巾で吊っていた腕を練成しやすいように取った。まぁ、ちょっと痛むがまぁ、良いか。新羅たちは皆々顔を覗かせている。


パンッ

手を合わせ円を意識しドアに触れる。バチバチッと練成反応が起き、分解、そして再構築する。そして、ドアは元通りに前のように直っていた。


To Be Continued…

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