「んー…布団、布団……って、んん?」
肌寒さを感じ、掛け布団を探すもいくら探しても見つからない。眼を開けてみれば、一瞬で眠気なんて吹き飛んでしまった。
見渡す限りの木。こんもりと盛り上がった落ち葉を布団代わりに寝ていたようだ。
というか…
「此処、何処だよ…!」
湊は思わず叫んでいた。日本なのかな、というか近所にこんな場所なかったような気がする。まさか、寝ながら着替えて電車に乗ったのだろうか。夢遊病も此処までくれば酷い…って、あれ?
ナチュラルに流しそうになったが、服が変わっていた。寝る前は、ジャージだったのに。変だ、何かが可笑しい。
「とりあえず、此処がどこか調べよう」
湊は立ち上がって、服についた落ち葉を払いながら歩き出す。少し歩いたところで、道に出た。
そのまま、道なりに進んでいけば一軒の家があった。
とりあえず、場所だけ聞いておこう。人住んでるのかな…という疑問は置いておく。
「ごめんくださーい、誰かいませんか…?」
インターホンが見つからなかったから、ノックをして返答を待つ。…返事がない。もう一度、ノックをしてみる。
「あれ、鍵開いてる…」
やっぱり、返事がない。そこで、鍵が開いていないのに気づいた。防犯的な意味で、大丈夫なのだろうか。
このまま帰ったら、次は何処に家があるか分からないし…仕方ない、中に入ってみよう。もし、中に住人が居たらなんて説明しようか…。
「お邪魔しまーす…」
あ、靴脱いだほうが良いのかな。でも、靴置いてないし…。スリッパがあったので、ちょっと借りよう。
家の中に入ってみれば、見慣れない外国のような家だ。というか、暖炉がある! 凄いなぁ…。暖炉では火がついており、ぱちぱちと言う音がいい感じだ。しかし、住人らしき人はいない。
「なんか、見たことあるような…。デジャヴ?」
ふと、この光景がどこかで見たことがあるような気がした。でも、こんな家を見たことはない。うーん、謎だ。多分、気のせいだろう。
「うわっ…」
湊は、2階に上がる階段を見つけた。と、その前に階段の角になっている部分を見つけ覗いてみればそこには、人間の頭蓋骨だと思われるものが蜘蛛の巣にまみれながら置いてあった。よく見たら、蛆も沸いている。湊はこみ上げてくる吐き気を堪えながら、見ないように後ずさる。
この家の住人は何かが可笑しい。もしかして、逃げたほうが良いんじゃないか、とも思うがとりあえずは2階を見に行こう。階段をゆっくりと上り始める。一歩踏む毎にぎしりと軋む。階段、抜けたりしないよね…?
それから、2階に上がって探索してきたけど、目ぼしいものは特になかった。