レオンが助けに来るまで、この部屋の中でじっとしていなければならない。僕一人ぐらいだったら、脱走も出来るだろうけど、アシュリーがいるなら脱走もできないや。
そんなわけで、ただいま物色中です。
「うーん、何か武器になりそうなものは…」
部屋中散らかして武器になりそうなものを探していた。ハンドガンは取り上げられ、湊が持っているのは少量のハーブとハンドガンの弾だけだった。ハンドガンの弾だけ持ってても意味がない。
「ミナト! これ、どうかしら」
「ん? これって…ボウガンだね」
アシュリーが何かを見つけたようで、両手に抱きかかえながら駆け寄ってくる。アシュリーから渡されたのはボウガンだった。これって、邪教徒が持ってたりする奴だよね。
「ナイス! いいものだよ! あとは…矢を探さないとね」
「OK! 探してみるわ」
ボウガンは十分立派な武器だ。あとは、矢さえ見つければ使えるのだが…見付からなかったら、鈍器として扱うしかないね。殴っても強そうだし。
「あ、あった! アシュリー、あったよー」
近くにあった箱の中を探してみれば10本ほどの矢を見つけた。少ないけど、仕方ないよね。それに、どうやら先端には油が塗ってあるらしく火をつけられそうだ。というか、こんな簡単に見つかっていいのか。武器の管理はどうなってるんだ…。
探し物も終わったので、地面に座り込んでアシュリーと話をすることにした。ボウガンはすぐに使えるように湊の手元にある。
年下の前だから弱さを見せないようにしているのか、アシュリーは気丈に振舞っているも顔からは疲れが見えていた。
「ねぇ、ミナト」
「なに?」
「あなたは怖くないの?」
アシュリーは湊に怖くないのかと聞いた。湊は少し考えた後、本音を漏らした。
「そりゃ、怖いよ。でも、怖くたって行動しなくちゃ先に進まないし」
「私は…ううん。そうやって行動に移せるミナトが羨ましいわ」
それから、湊はレオンと初めて会った時のことを話した。
「僕ね、最初村人に襲われてたんだ。何とか撃退しようと思ったんだけど、両肩捕まれちゃって動けなくなった」
「ええっ、大丈夫だったの?」
「まぁ、痛かったけど大丈夫だったよ。流石に、死ぬかと思ったけどね」
湊は苦笑しながら答えた。本当、あのときのことはトラウマになりかけている。レオンが助けてくれなかったらどうなっていただろうか。
「あ、やばい…って、思ったときにレオンが助けてくれたんだ」
「あら、まさにナイト様ね」
「ナイト様って…まぁ、かっこよかったけど」
確かに、あの時のレオンはかっこよかった。ガナードは自分でとどめをさしたが、レオンの援護があったから出来たのであって、うん…。
「ミナトはそのレオンって人のこと好きなのね!」
「うん…って、え? え、え? いやいや、そんなわけないよ!」
アシュリーの言葉に思わず返事をしまったが、湊は混乱していた。
ちょっと待って、僕がレオンのことが好き? いやいや、ちょっと待って。確かに、ゲームをしているときバイオシリーズの中では一番好きなキャラだったけど…。でも、現実になってる今は好きかと聞かれたら答え辛い。
「だって、会ったばっかりだよ?」
「一目惚れって可能性もあるし!」
あぁ、一目惚れね…あるある、ねーよ!
ちょっと待ってよアシュリーさん。
どうして、きみはそんなにレオンと僕をくっ付けたがるの。良い雰囲気になってたのはあなたたちではないですか。
そして、このガールズトークはレオンが来るまで続けられたとかそうじゃないとか。