「う、いたた…」
意識が浮上し、何でここに居るんだろうと考えればさっきのことを思い出して勢いよく体を起こした。その際、叩きつけられた背中が痛んだが、気にしては居られない。
辺りを見回してみると、ここはどうやら教会のようだ。何で、教会にいるのだろうか。
レオンと離されてしまった…。
「眼を覚ましたか」
声をかけられた方向を向けばそこにはサドラーがいた。え、ちょっ。何で此処にいるの…? あ、でも居てもいいのか。というか、アシュリーを救出するときにはいたし。
「お前…、僕に何かしたのか?」
「お前もあのエージェントや娘のように種を植え付けた」
種…つまりはプラーガの卵を入れられてしまったようだ。思わず、首を押さえてしまう。困ったな…。まさか、僕にまで種を植え付けられるとは思ってなかった。
どうにかしてレオンと合流しなければ…ハンドガンを探すが見つからない。
「そうそう、武器は回収させて貰った。危ないからな」
「ハンドガンの弾喰らったって簡単には死なない癖に…」
悪態をついてしまう。
「何かを知っているようだが、卵さえ孵化してしまえば私の思い通りに動く。それまであの娘と一緒にいたまえ」
「はぁ!? ちょ、待てよ!」
そうサドラーが言えば黒いローブを被ったガナードが現れ湊を羽交い絞めにする。暴れてみるも掴まれているため動けない。そのまま小部屋まで連れて行かれ、乱暴に部屋に投げられた。
「あ、このっ! 出せよ、畜生!」
ドアを思いっきり叩くもびくともせず、鍵を閉められ成す術を失ってしまった。苛立ちをぶつけるかのようにドアに蹴りを入れても、足が痛くなるだけだった。
あれ、この部屋って…?
「あなた、誰なの?」
物陰から顔を出したのはアシュリーだった。そっか、ここってアシュリーが捕らわれている部屋だったのか。アシュリーに近づいていく。一応、害はないよーってことでひらひらと手を振ってみる。
「僕はミナト・キリュウ。きみは?」
「私はアシュリー・グラハムよ。あなたも連れてこられたの?」
「うん…でも、すぐにレオンが助けに来てくれるよ」
「そうかしら…」
「そうだよ、レオンは人探しって言ってたし。その人ってきみのことだと思うし」
まぁ、知ってるから言えることなんだけどね。アシュリーは不安そうな顔をしている。そりゃ、不安だよね。こんな周りが敵だらけの中に拉致られてくれば。
「ミナトは日本人?」
「そうだよー」
「小さいのにしっかりしてるのね」
「えっ?」
小さいって、え? 何が? 身長…はそうでもないか。これでも高いほうだし。165センチはあるから。
となると…年齢かな?
「僕、これでも18だよ」
「えっ!? 嘘…ごめんなさい」
「いや、まぁ…日本人って若く見られるらしいし…何歳ぐらいに見えたの?」
「15歳くらい…」
そりゃまた随分下に見られたな…。日本人が若く見られるってのは本当のことらしい。いやでも、若く見られるのは良いこと、なのかな…?