02


「ここいらじゃ見ない顔だな。旅行?」


「うん。ちょっと探し物をね。」

店主は、俺らに向かって聞く。それはエドが答える。今度は、エドが質問をした。内容は、先ほどから流れているラジオのことだった。…氷、小さくなってきたな。宗教には興味も無い。エドたちが店主、ほかにいた客が『コーネロ様』とやらについて色々話しているがグラスの中の氷を眺めながら聞き流していた。俺のことでも、説明するか。別に、いらねぇけど。


俺、ルキフィス・エルリックは国家錬金術師であり、軍に所属している。階級は、准将だ。そして、氷結の錬金術師だ。俺の良く使う錬金術は、氷を練成するものだ。空気中の水分を瞬時に凍らせる。まぁ、簡単に言えばロイの錬金術は発火だろ?俺の場合は、それが氷になったってぐらいで良いと思うぜ。勿論、俺も真理を見ている。だから、エドのような練成も出来る。


っと、話は終わったみてぇ…って。


「あ。」


ごち。

と鈍い音の後に落ちてくるラジオ。アルが立ったとき、ラジオにぶつかった様でラジオは落下してしまった。アルは「あ。」と声を上げ、店主は「あー―――!!!」と大声を上げた。

「ちょっとお!! 困るな、お客さん! だいたい、そんなカッコで歩いてるから…」

「悪ィ、悪ィ。すぐ直すから。」


「『直すから』って…」


頭を掻きながら言う店主にエドは「まあ、見てなって。」という。俺は、それを横目に珈琲を口に含む。アルは地面に練成陣を書いている。少し経てば、アルの「よし!」と言う声が聞こえ、目線だけアルに向ける。


ボッ!

練成反応で起こる光が辺りを包む。光の中から現れるのは元通りのラジオだ。店主は目を見開いて驚いている。それから、

「あんた『奇跡の業』がつかえるのかい!?」


奇跡の業…? 聞きなれない言葉にエドはそのまま「なんだそりゃ。」と答えている。それから、アルが「僕達、錬金術師ですよ」と言う。のに、続いてエドも

「エルリック兄弟って言やぁ、結構名が通ってるんだけどね。」


**

「エルリック、エルリック兄弟だと?」

「ああ! 聞いたことがあるぞ!」

ざわめく民衆に、俺は欠伸をして頭を掻く。此処まで、有名になってるとはなァ…。


「兄二人がたしか、国家錬金術師の……」


「"鋼の錬金術師"エドワード・エルリック!!」


「と、“氷結の錬金術師”ルキフィス・エルリック!?」

その声にエドは小さく「YES!」と答える。いきなり自分が呼ばれ、エドたちのほうに振り向き、「あ? 俺?」と言う。


「氷結の錬金術師と言えば、13歳で国家錬金術師になって、14歳で大佐になったって言うあの!?」


「まァ、間違ってねぇが…。」

「じゃあ、鋼の錬金術師は…」


ちらりとアルの方を見ている。こりゃ、完全に間違えてんなァ…。あー、煩くなるぜ…。


「いやぁ、あんたが噂の国家錬金術師!!」

「なるほど! こんな鎧を着ているから二つ名が鋼なのか!」

「なぁ! 准将さんよぉ! 錬金術見せてくれよ!」


アルのところだけでは無く、俺のところにもそうやって人が集まり始めている。錬金術つったてなァ…。てか、エド怒るんじゃねぇか…?

その後は、勿論エドはキレて、俺にもとばっちりが来たため一発殴って大人しくした。そしてから、ロゼという少女(?)に会った。


彼女は、何か『影』があるように見えた。明るくなった、と言っているがそれは表面だけで内心は分からない。俺は、ロゼの後姿をぼけっとしながら見ていた。

NEXT

<< >>