01:発端は些細な手違い


「な、何だコレェエエェエ!!」

いつもより、小さい手。機械腕まで自分の身体に合わせて小さくなっている。

だぼだぼの服を引きずりながらも鏡へと行って、鏡を見ればまた大声を上げてしまった。

「子供の姿になってんじゃねェかァアアアァア!!」
声も、いつもの低い声ではなく9歳程度の声の高さになっている。

「お、落ち着け…俺。何でこんな姿になったのか考えろ…」

ぶつぶつと呟いて考えている。昨日、合ったことをもう一度考えてみよう。


昨日は確か――


「ふぇっくし!」

と、大きなくしゃみをして。風邪引いたか…?何て考えているとガチャリ、とドアが開く音がし見てみるとそこには大総統のキング・ブラッドレイだった。

「…なんで、大総統がこんなところへ?俺、ちゃんと仕事してますけど?」

そう言うと大総統ははっはっと笑い始めて。イラっときたが抑えて。

「そんなことはどうでも良い。今日はコレを渡しに来たんだよ」

と、言うと小さな箱を取り出しルキフィスに手渡した。

「?何だコレ…。なんなんだこれ」

そう言うと大総統は「飴だよ。たまには飴でも舐めると良い」と言った。


飴か…甘い物なんて、久しぶりだな。


なんて考えていると「それじゃ、私は失礼するよ」と言い、大総統は退室した。


早速、箱を開けると1粒だけ、小さな飴が入っていた。それを手に取ると口の中に入れて。

「ん、結構美味ェ…」

感想なんか述べても誰も聞いていないが。


あとは、普通に仕事して家…というかアパート?に帰って少し読書して寝て…――


「あの飴の所為かァア!」

がくん、と項垂れているとチャイムが鳴る音がして。服を引きずりながら行くとそこには大総統がいて、「やあ」と挨拶をしてきた。

「あ、ども」

「じゃなくて!コレどういうことだよ!俺子供になってんじゃねぇか!」

「それのことなんだが、渡す飴を間違えてしまってね。

それは『子供になる飴』で本当はこっちの無駄に高い飴を渡そうとしたんだよ。」


「ふ、ふ…ふざけんなァア!」

「食べてしまったものは仕方ないではないか。そんな服ではちゃんと動けまい、服を用意してある。これを着ると良い」

といって服を差し出した。ルキフィスは受け取ると「仕事はどーすんだよ…」と言った。すると、大総統は

「仕事のことは心配しなくて良い。元の身体に戻るまで休んで良い。」

それなら安心だ。子供の姿になっても仕事なんてごめんだな。

「しかし、キミには軍に着てもらうよ。」

「は…?仕事しなくても良いんだろ?けど、何で?」

「いや、なんとなくだよ」


なんとなくって何だ…。と内心思いつつも

「それを早く着替えて着たまえ。乗せていくから。」

そう、大総統が言った。ルキフィスはこく、と頷いて服を引きずりながら部屋に戻って、服を着替えた。

服は、灰色のTシャツに、黒パーカー。そして、紺の半ズボン。子供っぽい服だな…と思ったが、今は子供の姿だった…。


「さてと、あ。銀時計忘れてた。」

ズボンの銀時計のチェーンを引っ掛けると、とたとたと玄関まで走った。

「では、行くか――」



発端は些細な手違い
(あー、エドたちに説明どーすっかな…)

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