BSAAの施設内にある、射撃訓練場に俺とピアーズはいた。
任務が終わって、短い間だが休暇を貰ったのだが、特にやることもなかったため訓練でもしないかとピアーズを誘ってみたら、ピアーズもやることがなかったからか二つ返事で了承し、今に至る。
今の時間帯は人が少ないのか訓練場には二人だけだった。
前方にある的を狙って引き金を引く。わずかな反動の後、銃から放たれた弾丸は的へ突き刺さる。それを何度か繰り返し、全部打ち終わる頃にはかなり汗をかいていた。
「あっちー…」
イヤーマフを外し、ぱたぱたとシャツの襟元を開いて空気を送る。集中すればするほど汗って言うものはかくもんだ。
ピアーズの所に行けばピアーズも丁度終わったようで汗を拭っていた。
「お疲れ」
「あんたもな」
ピアーズが飲み物を投げて遣した。それをキャッチすればキャップを開けのどを潤す。
同じように飲み物を飲んでいるピアーズをちらりと観察してみる。首元に流れる汗と、飲み物を飲むときののど仏なんかの動きがなんて言うか、うん。エロい。
「どうした?」
「え? い、いやなんでもねー…」
いつの間にか見入っていたようだ。やばい、ピアーズの顔を直視できねぇ…。恥ずかしいというか、これ以上直視すると俺の理性がやばいというか。
「レックス?」
あぁ、もう。俺の名前を呼ぶなよ。ピアーズの頭をがむしゃらに撫でてやった。ハッハ、セットした髪がぐしゃぐしゃだな!
ついでに言うが、俺のほうが身長は高い。184センチだ。
「ちょっ、何するんだよ!」
「あん? んなもん、なんとなく――って、何で顔赤いんだ…?」
撫でられた頭を押さえながら俺を睨むピアーズの顔はほんのりと朱に染まっていた。え、何で赤くなってんの。
混乱する俺にピアーズは目線を逸らしながら呟いた。
「吃驚しただろ…」
「なにこの人マジ可愛いんですけど」
「はぁ!? 男に可愛いはないだろ!」
あ、やべ。口に出てた。ちょっと、後悔するも言ってしまったなら仕方が無い。つか、俺がピアーズに好意を持ってることがバレてしまったなら、やることは一つだ。
「つーわけで、ピアーズ。俺はお前のことが好きなんだが」
「いきなり言われても答えられるわけないだろ!」
そりゃそうだな。
でも、お前の全部が欲しいんだ。流石にいきなりは駄目だろ?
だから、少しだけ待ってやるよ。
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