「ついに…来たんだ…。シャボンディ諸島…!」

「何無駄にかっこよく言ってんだよ」

「痛い!?」


あの入れ替わり事件から3日が経った。皆さん、ついに来ましたよ。目の前にはふわりふわりとシャボン玉が浮かんでいる。先程かっこよく言った通り、シャボンディ諸島に着いた。私がトリップした時から行きたいと思っていた場所。振り返ってみると、随分長い旅だった…気がする。


「うっうっうっ、」

「何、化け物みたいな声出してんだよ気持ち悪ぃな」

「化け物て失礼な!私は嬉しくて泣いてるんですよ!」

「そーかよ」


くーっ!キッドさんめ!私はダンダンと地団駄踏んだ。すると船員の誰かが「地震!?…何だこなつかよ」と言うもんだからとりあえずそこに置いてあったモップを投げて逃げた。後々キラーさんに頭を殴られた。私のせいじゃないのに…!


「こなつ。おれから離れてもいいが1人で行動するのはなるべく避けろ。あと、何かあったらすぐおれかキラーのところにテレポートしろ。いいな」

「お母さんか」

「縛り付けてお前だけ船に置いてってもいいんだぜ?」

「まっかせて下さいよ!何かあったら瞬時にテレポートします!」

「よし」


くしゃくしゃとキッドさんは私の頭を撫でた。うわ、せっかくセットしたのに!


「ところで…、何だその格好は」

「ふふん!シャボンディ諸島だから気合い入れてお花柄のワンピースを着てみました!」

「気合い入れた割に靴はビーチサンダルか」

「うっせ!これしかなかったんですー!」


くそー、今日シャボンディ諸島で買ってやるんだから!…いや買ってもらうんだから!が正しいかな。残念ながら私の財布はキラーさんが持っている。この間お菓子を大量に買ってしまったからお金を没収されてしまったのだ。キラーさんのケチ!


「まあ、似合ってんじゃねえの」

「……明日は雷か」

「海に落とすぞ」

「すみませんキッドさんに褒めていただけるなんて光栄ですありがとうございます」


キッドさんに褒められた。なんて珍しい。明日は雷か、なんて思っていたらつい声に出してしまった。勿論キッドさんは怒るわけで。私は全力でお礼を言った。キッドさんはスタスタ歩いて行った。


「…何突っ立っているんだこなつ」

「ぎゃあ!キ、キラーさん…!驚かせないで下さいよ!」

「お前が驚きすぎなんだ。ところで…顔が赤いが熱でもあるのか?」

「え!?」


バッと両手でほっぺたを触った。た、確かに熱い。でも体は全然怠くない。もしかしてさっきのキッドさんの台詞に照れたのか自分…。はは、そんなまさか。私はキラーさんに「大丈夫ッス」と言いさり気なくキラーさんから離れた。あの人のことだから絶対察してバレてしまう。私はパタパタと手で顔を仰ぎながら、空に浮かぶシャボン玉を見つめるのだった。






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