蜜虫
──ちいさなちいさな奥方へと。
帰路に、あまいかおりが漂う。花にあつまる蝶がごとく、澄んだ翅をひからせて、羽虫がふらふら寄ってくる。薄暮の道に──あまいかおりが、
そんなことをチャカは思う。
◆
玄関をあけると、ちいさな奥が飛びついてきた。
腰をかがめて、小柄なからだに高さをあわせ
──その
「──…待たせたか、」
──…ごくかるく、互いのほおを
「お帰りなさい!」
──ちいさな女だった。……少女と言うほかないような。
ほそやかな
「──チャカさま!」
──…その
ちいさな、しろい鼻をうさぎのようにひくひくさせる。
──あっというまに菓子の匂いを嗅ぎ当てた。
「──おみやげですか!」
その声に喜色がにじむ。
◆
夕食後、菓子をたべる。紅茶よりも苦味の強い濃茶の液。カルダモンコーヒー。つるりとした白地に、あざやかな青の走る陶器の砂糖壺から、チャカの指は匙を出し、ひと匙、ふた匙、み匙……。すずしい顔だ。胃の焼けそうにあまい菓子と茶を口にする。少女は素焼きのうつわにあたためた乳。ぶうぶうと吹いて冷ます。お行儀はいただけない。
あまい糖蜜にひたした菓子を指でたべる。とうぜん、ゆびさきはあまく、べっとりと汚れる。
◆
少女は、くちのまわりに、木の実の破片を幾つもつけている──みどりいろの飾りのように。……べとべとが糊がわりだ。指でとってやる。
──かまわず、あいては、くちのまわりをぺろぺろ舐める。やはり、お行儀がよろしくない。
おやめ、と言いかけて──…べつのことに気を取られ、チャカは、声を出しそびれる。
──…少女のちいさなくちびるが、褐色の指をちゅうと吸う。
ひび割れた指のおもてに、ちいさな──真珠のように小粒の──…歯が、当たる。
「──チャカさまのおゆびも甘い。」
しろい歯を見せ、それは、子どものように笑んでいた。
──こら、と
チャカは、じぶんの手をくいと引く。
──とがった部分があまく食い込む微かないたみ。……すぐに、離された。
↓
寄生蜂みたくな少女と 腹の内から喰われてゆくおおおとこ。
みたいなきもちで 書いています このふたり。(近年は)
◆
チャカさまは(ペルさんも)お国柄的に絶対過剰な甘党だと思ってる。(砂漠のお国は味付けにめちゃお砂糖バンバン使うため)
◆
今年の4月にTwitterに上げたお誕生日SSです。サイト収録が大幅に遅れて申し訳ございません…。
◆
ちゃかさま…5月の…公式の人気投票のことは…気にしないでね…
だいすきだよ…
21.08.23(21.04.26)
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◆
チャカさまは(ペルさんも)お国柄的に絶対過剰な甘党だと思ってる。(砂漠のお国は味付けにめちゃお砂糖バンバン使うため)
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