SSS『Happy Valentine's Day!! 1』
2015/02/14 00:00

【二月十四日。午前三時十八分。】

夜、寝ていたら突然冷たい石膏の塊を押し付けられ、塑像にされかかった。
石膏が顔にまで張り付いて窒息するかと思った。
必死に抵抗して何とか事なきを得る。


【二月十四日。午前六時半。】

目が覚めると隣に奴がいない。
嫌な予感に背筋を震わせながら階下へ行けば、甘い香りがぷんとする。
機嫌良く鼻歌を歌いながら大量の茶色い砂糖菓子を溶かしている家内の背中を見、私は黙って家を出た。
悪寒が止まらない。


【二月十四日。午後零時。】

食堂に奴が現れた。
ぷんと甘い香りをさせている。
非常に嫌な予感がした。
廊下の兵が不穏にざわついている。


【二月十四日。午後零時十五分。】

自殺願望は特にないが割と死にたいと思った。
廊下に私の等身大全身像が晒されている。
際どいポージングの、全裸だ。
衆目に晒されるその像の前で、奴が得意げにまな板のような胸を張っていた。
像は褐色で、甘い香りがする。

無遠慮に注がれる数多もの視線の中、おまえが無駄にした分のチョコレートで、おまえが溺れてしまって静かになれば良いのにと不穏なことを考えながら現実逃避をしていた。

胃薬が飲みたい。

今、兵がこちらを指差して笑った。
しばらく私は国王軍の笑い者にされるだろう。

神などこの世にはいない。


取り敢えずホワイトデーなる日には奴を砂糖の海に沈めてやろうと、そう決心した。



Happy Valentine's Day!!
(愛ゆえの受難)




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兎にも角にもチャカさまどんまい。
バレンタイン一作目でした。
二作目はペルさんです。




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