首を傾げながら恐る恐る尋ねる。

 そんな僕に、ふっと笑いかけた後、また真剣な顔をしたハルさんが、僕の目線に合わせるように身を屈めながら、力強く告げた。


「――うさちゃんを……雪兎を守っていきたいって。雪兎の過去を俺は共有することができないから、せめて、支えたい」

「は、ハル、さ……」

「好きだよ、雪兎。君のことが、この世界の誰より大好き。だから、俺の物になってくれないかな?」

 俺の恋人になって。

 真剣な表情で、そう言うハルさん。

 ど、どうすればいいんだろう。

 かっと顔が熱くなって、頭の中はまるで沸騰したみたいにぐつぐつと煮えている。

 ばくばくと異常な高鳴りをみせる心臓を、僕は知らない。

 顔を真っ赤にしたまま挙動不審に視線を泳がせる僕の顔を、ハルさんは真剣な目のまま、口元に柔らかい笑みを浮かべ下から窺ってくる。

 で、でも、目が合ったらさらにどうしていいのかわからなくなっちゃうよぉ。

「大好き。愛してるよ、雪兎。……雪兎は俺のこときらい?」

「えっ、そ、そんなわけありません! 僕だって、ハルさんのこと大好き……っ、あ!」

「……そんな顔して好きーって、俺期待してもいい? 雪兎も俺のこと好きなんだぁって」

「ぁ、ぁぅ……あの、その……っ」

 咄嗟に言ってしまった、「大好き」という言葉。ど、どうしようっ、恥ずかしくてハルさんの顔見れないよ!

 あわあわと顔を赤くしたまま必死でハルさんから視線を逸らす僕に、ハルさんがやさしく笑いかけながら、「ね。答えてー」と言う。

 なんだかその声には今まで以上に真剣さが籠っている気がして、僕は恐る恐るハルさんの顔をちらりと見た。


 ――えっ……?

 そこには、僕が気づかなかっただけで、すごく真剣な目をしたままのハルさんがいた。

 しかもよく見るとハルさんはやさしく笑ってるはずなのに、どこか不安そうな表情だ。

 ……僕はここでやっとハルさんだって、すごく緊張してるんだって気づいた。

 緊張していて、不安で、それでも僕のことを真剣に見つめてくれる。

「雪兎、答えて」

 そんなハルさんを見ているうちに、僕の中ではハルさんに対する答えが出ていた。

 ……ううん。もうあの時口に出していた時点で、答えなんて出てたんだと思う。


 僕は、すごく優しくて、温かくて、いつも僕のことを考えてくれて、支えてくれて。そんなハルさんのことが、大好き。

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