自己紹介と会議
テストは、新さんに教えてもらったことでやる気がいつもより多くなったからなのか、僕的にはすごくいい結果。
新さんにも報告したら、自分のことみたいに喜んでくれて、ほんとに嬉しかった。
そして、テストでいい結果をとって、嬉しい気持ちでふわふわしてる間もなく、テストが終わった次の日から、すぐに体育祭の準備期間が始まる。と言っても、準備するのは僕ら委員長と生徒会の皆、そして風紀委員会の中から委員長と副委員長。
……まあ、体育祭での役割の確認とかを話しあうだけなんだけどね。全校生徒も一緒になって本格的に準備が始まるのは、夏休みが終わってからなんだ。
でも、僕が図書委員長になってから初めての大きな仕事だから、実はすごく緊張してる。うう、なにか変なことしちゃったらどうしよう。
そんな不安はたしかにあったけど、でも頑張ろう! と軽く深呼吸してから、「し、失礼します」と会議室に入った。
「んん? あれぇ? 君は……」
「あ、の……図書委員長の、秋月です」
「そうそう! 海くんだぁ……こんにちはぁ」
「え? あ、こ、こんにち、は?」
部屋に入った僕に話しかけたのは、生徒会の会計であるケイさんだった。
前と変わらないにこにことした顔にほっとするんだけど、でも、なんでケイさんは僕の名前知ってるんだろう?
アオである時に知り合ったけど、今の僕のことを彼は知らないはずなのに、どうして?
困惑してる僕を余所に、ふわふわした口調で挨拶をするケイさんに返すと、なぜかにーっこりと笑顔を深くする。ど、どうしたの?
その表情にさらに困惑して立ち尽くす僕を助けてくれたのは、副会長であるトキさんだった。
「はぁ、秋月くんが困ってるでしょう。いい加減にしなさい腐れチャラ男」
「ひ、ひどぉい! だって、困惑顔かわいいんだもーん。超萌えるー! 会長に聞いてた通りー」
「ああ、それはそうですね。毎日毎日のろけて……鬱陶しい」
ど、どうしよう……全然理解できない。
目の前で多分僕のことだと言うことだけはわかるんだけど、二人が会話してることが理解できない僕はただ困惑するばかりだ。
トキさん、助けてくれたと思ったけど、正直全然助けになってないです。
「あ、あの……」
いつまでもそうしてるわけにはいかない、そう思い恐る恐る声をかける僕に、トキさんが気づいたように、「ああ」と声を上げた。
「どうしました? 秋月くん」
「あ、いえ……その、ど、どこに座ったらいいですか? ト、副会長様」
「ああ、好きな席でいいですよ。それと、僕のことは名前でいいですから」
そう言うトキさんに、僕は丁重に断ろうとするけど、口を開こうとした瞬間、トキさんの目がきらりと光った気がしたから、小さく頷いた。
- 113 -
[*前] | [次#]
(1/55)
←戻る