食満長/現パロ/自殺注意


無理やり屋上に連れ出してから四肢を縛って監禁してやろうかと思うくらい好き。だけど本当にする訳にもいかなくて俺はただ繋いだ手を見つめる。

「長次、好き。」

何万回目の告白だろう。言い続けた言葉は既にただの例文で、それでも事あるごとに言い続けたのは好きだからなのか何なのか。もう理由すら分からない。




見上げた空は青かった。

雲一つ無い晴天が俺の恋心みたい。




「俺はお前の事が好きだ。男同士なんて関係ない。長次は俺のこと好き?」
「…さあ」
「照れてる?」
「困惑してる」

ふうん、困惑なんて難しい言葉使うんだ、やっぱり長次は恰好良いな!
コンビニで買った焼きそばパンを頬張りながら、長次の顔を見つめた。初夏の訪れを感じさせる暑さが続くのに、長次はまるで涼しげに校舎を見ている。

「俺のこと、何番目に好き?」
「人に順位を付けるなんて、」
「俺は長次が一番好きなんだけど」

遮る様に放った言葉。ああ、また愛の告白。


「長次が嫌いな物は全部壊そう。小平太も文次郎も長次が嫌いなら俺が殺してやるよ。俺と長次以外の前人類を殺してもいい。そしたら二人きりの世界になるだろ?なあ、どう?」

けらけらと笑いながら言う言葉に重みなんて無くて。でも本気だよ、長次が望むならなんだって。

「出来もしない事を言うんじゃない。それに友人に対してその扱いは、」
「友人?馬鹿だなあ長次は。俺は長次以外要らないんだ。友人なんてカテゴリーも以外同文。」
「…孤独だな」
「長次が居るさ」

俺がにこっと笑うと長次は明後日の方を見る。白い首筋にさっと触れるとびくっと跳ねる長次が可愛い。

「それにもし長次が俺の事一番好きで無くてもいいんだ。そりゃ一番が良いけれど高望みはしない。長次にとって普通よりちょっと好きってだけでもいい。なあ、分かる、それくらい好き。」

「ふうん」

「なあ長次、二人っきりの世界に行こう。周りの奴ら全員消してさ。そしたら長次の一番好きな奴が俺になってさ、なあ長次、それって良いアイデアだと思わない?」

そうでもしないと一番に成れないのが辛いが問題無い。長次を洗脳すればいい。

長次は訳が分からんと呟いて、それから珍しく俺の目を見て言った。


「そんな世界じゃ呼吸すら出来ない」
「好きって事?」
「嫌いって事」


教室で昨日の体位は良かっただとか叫ばれて中在家って食満とそういう仲なのかと疑われて恐らく食満のファンである女子達に殴られて中在家きもいきもい言われたら流石に傷つく。あのクラスに情なんて無いが、読書しているだけでクラスメートにこそこそ言われる気持ちが分かってたまるか!何故か七松に中在家ってホモなのと必要以上に問われるし、そうなったのも全部お前のせいだ!

とか言うニュアンスの台詞をボソボソと話す長次は滑稽だ。最後の方は聞き取れなくて、ふうんそうとだけ返しておいた。

「俺が居なくなればいい?」
「…そうは言ってない」
「言ったよ、傷ついた」

俺はフェンスを跨いで身を乗り出す。校庭に居る生徒がこっちを見た。

「長次が殺したんだよ」

そう言って、笑って、もしかすると恐怖で震えて居たのかもしれないけれど。
生徒が悲鳴を上げる、長次が慌てて止めに来る。

嘘だ、ごめん、そういうつもりじゃないんだ食満!

珍しく大声を張り上げた、脳内に響く声を反覆させて、最後の音が長次の声で良かったと心底思った。

「長次、俺はお前の事が好きだ。死んでも―――」










時間が止まったみたいな世界に居るのは俺と長次だけ。ああ、これが追い求めた二人っきりの世界。


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