Clap | ナノ
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  へし切長谷部×女審神者

俺を呼ぶ主の声が本丸に響く。
その声は何時に増してか細くまるで鈴のようだ。
すぐさま声の方へ向かった。

「はい、お待たせ致しました。お呼びでしょうか?」
「あ…来てくれたのね。本当に早いわね」
「いいえ。この程度当たり前です」
「…でも今の独り言だったから気にしないで。自分の持ち場に戻って構わないわ」
「そうでしたか。ですが俺は成すべき仕事は片付けました。ですので…」
「そうなの?せっかくだからこちらでゆっくりして行ったらどう?」
「…その、宜しいのでしょうか?」
「構わないわ。たまには長谷部も息抜き必要よ」
「…息抜き、ですか」
「えぇ。あなたはたまに私よりもお仕事しているから、体調壊さないか不安になるのよ」
「そんなことありません。俺なんか主の体調が心配です。最近眠れていないのですか?」
「あらあら、優秀な近侍を持つと全部見透かされてしまうわね」
「俺は…まだ主に見合うような優秀な近侍ではありません」
「…本当、そういうところが優秀なのよ?せっかくだからお茶でも用意すれば良かったかしらね」
「では、今すぐご用意致しま―――」

立ち上がろうとしたとたんカソックの裾を引っ張られ、動けなくなる。
目線をそちらに向けると主は少しだけ複雑そうな表情をしていた。
その表情に少し胸がぞわぞわする。
すぐさま主の方へよく俺の顔が見えるように身体を向けた。

「……いかないで…」
「主…?」
「えっ、あ、ごめんなさい!引き留めてしまったわね。気にせず行って構わないわ」
「…いえ、今は主とお話しがしたいので、お茶は必要ありません」
「…そう、良かったわ。じゃあ何を話しましょうか…」

主は安心したような表情をし、話を続けた。
楽しそうだがどこか切なげに会話を進める主の美しい横顔に思わず唾を飲む。
今まで感じた事のない感情が込み上げてくる。
一体この感情はなんだろうか。
だが、今は主の傍で嬉しそうな声を聴き続ける。

俺がこの感情は一体何か知るのはもっと先の話だ。


 
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