甘い物が大好きな私からすれば彼は私と仲間になる。
けど、彼は私にあまり興味を示さずただただ甘い物について語る。
いや、確かに甘い物同士、ケーキやパフェに語るのは良いことだ。
多分私が一方的に片想いをしているだけで、彼はただ本当に同じ仲間だとしか考えていないのだろうか?
それ以前に私はいつから彼を好きになったのかが知りたい。
…自分に自分で聞くとは、自問自答の繰り返しに成り兼ねない。
私は目の前のマフィンの美味しさについて熱く語りながら食べる彼を見詰めながら話を聞く。
好きなものに素直な彼に惹かれたのかな?
いや、なんだかしっくり来ない。
じゃあ…語る彼に?
……それも違う。
ではどこに惹かれたのかな?
いや、まさかとは思わないが…でもその確率は高い。
「……一目惚れ?」
「…ん?何か言ったか?」
今まさに食べようとしていたマフィンを直前で止めて、私を見てくる。
『ごめん、なんでもない!』とちょっとあからさまになりながら目の前で手を振って彼から目を逸らす。
…うん、一目惚れらしい。
言った瞬間ちょっと顔が熱くなるのがわかった。
好きなんだ、私…宮地くんを…。
一目惚れ、始めて話が合ったあの時から…。
私はオレンジジュースのストローをくるくると掻き混ぜる。
氷がコップの内側に当たって、カランカランと音が地味に響く。
そんなことをしながらも、目の前の彼を盗み見るとやはり美味しそうに食べていた。
…マフィンになりたいなって思ってしまった私は、宮地くんが自分でも驚くくらい好きらしい。