拍手置場 | ナノ

 いつか、絶対に伝える






別に待ち合わせなんてしてる訳じゃないんだけど、彼女がここに来るんだって分かってるから待ってる。

まだかな、なんてまるで恋人同士みたいな事を考える僕っておかしいのかな?


暫くすれば、ほら、やっぱり来た。


予定通り来た彼女の近くにいたダークトリニティを下げさせる。


少し会話をして、プラズマ団が居る事を伝えて、先に進み、出口付近で待って、バトルして、信じられなくて、去る。


ここまで分かってしまう自分が怖く思ってしまう。

なにより、先程起きたばかりだ。



「……未来は、変えられないのかな?」



草原をゆっくり歩きながらぽつりとそんな事を呟く。

草村から控えめに出て来たチュリネを優しく抱き上げて、ぎゅっとする。


本当は、こんな事望んでる訳じゃないのに。

僕だって、好きでやってる訳でもない。


なのに…こうなってしまったからにはもう、変えられない。


もう、全てが終わった後につたえよう。


僕の想いを。彼女に。


今は、お互いに認められないかもしれない。

でも、僕にはわかる…きっと、彼女は…。




「…僕は、本当に何を考えてるんだろうね……。」



腕の中にいるチュリネは僕の感情が分かったのか僕に話し掛けてくる。




「…そうだね、僕は…淋しいのかもしれない……君は、ひとりは淋しいと思わないのかい?」



そう聞くと、『仲間が居るから』そう答えた。
そうか、仲間か…と、考え込んでいたらチュリネの仲間だろうか…他のチュリネが草むらからちらりと出て来た。




「ああ…ごめんね、チュリネと少しお喋りしてたんだ。」




そう言って、腕の中にいたチュリネを降ろす。



軽く手を振り、別れて僕はまた一人で歩き出す。




僕は孤独だ。


でも、その孤独が逆に落ち着いたりする。


何も考えなくていい、唯一の僕の居場所に帰れば…。






「………N?」




「え…?」





振り返れば、彼女がいた。

会いたくて、想いを伝えたくてしょうがない彼女が。






「……偶然、だね?」



「…そうだね、また君に会えるなんてさ」




僕って、ゲンキンかもしれない。



偶然あえただけなのに、喜ぶ僕がいるんだからね。







 
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -