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「いらっしゃい、地獄」







時に、人は罪を犯せば地獄へと連れて行かれる。

うん、私は、そう聞いている。

聞いているんですが……どういうわけか。




「私、生前罪を犯した覚えは無いんですが?」

「え、そうなの?じゃあ何かの間違い?」



ええ、間違いです。

と、どこかの教科書で見たことのある閻魔大王様は強面やばい殺される!!って顔じゃなくてむしろなんだこの親父はっていう感じが漂うのは何でだろう。

いや、親父ってよりも孫が居たら「わあおじいちゃん髭がぼさぼさだね!」な感じのおじいちゃんな人で、うん、人当たりはよさそうだ。



「鬼灯くーん、この子本当に何も無いみたいだよ?」

「おかしいですね……それならここには間違っても来ないはずですが……」

「……私、迷子?」



死者の迷子ってある意味おかしなものだとおもう。

そして鬼灯と呼ばれた人は手元の巻物やら紙やらから顔をあげれば私と目が合う。

うお……今、なんかこう、息が止まるかとおもった……。



「え……これってなにか妖術ってやつ?」

「何を独り言を言っているんですか。とりあえず、あなたは何かの間違いでここに来たみたいなので……待機してもらいます。」

「待機?……地獄ならなにか拷問とかさせられるんじゃ?」



『罪を犯していない人になんでするんですか』といったあと考え始め、そしてはっとしたように私の顔を見て、そして少し、申し訳なさそうに言われた。



「あ、もしかしてそういうご趣味を……」

「んなわけあるか!!」



『それなら遠慮なく』といいながらいつの間に持っていたのだろう、金棒を振り上げる姿はなんというか、楽しみを見つけたような目をしている。



「いやいやいやいや!!!待ってくださいそんな趣味じゃないって言ってるじゃないですかあああ!!」


振り上げられた金棒を避けてその地面を見れば軽くへこんでいて自分から血の気が引いていくのが分かる。


いや、これ、殺される!!!

……あ、もう死んでいるんだった。

でもでもこの人から拷問とか尋常じゃないくらいの精神的なものが肉体よりも来るような気がしてならないのはなぜだろう。



「逃げたら当たらないでしょう。ほら、そこに正座して。」

「違うって言ってるじゃないですかなんなんですかこの鬼みたいな人!!」

「鬼です。」



どうしよう、癇に障るのに……怖くて何もいえない。

私は鬼灯という人の攻撃?を避けながらのん気に生前犯した罪が無いか思い出してみたがそんなに大きなものをした覚えも無い。

っていうか結構ぽっくりと私死にましたよね?

あれ、ここどこ?みたいなノリで死んじゃいましたし。

なんて思っていれば金棒が私の頭に直撃してその後の記憶は無くなっていて。



目が覚めれば部屋を与えられており、罪を犯していないならどこかに就けばいいと言われ。

これじゃあ私、亡者じゃなくって地獄の一員……。








「あれ?鬼灯君、これってあの子の資料じゃない?」

「本当ですね。……ん?天国の…………あ。」

「あ。ってなに?ねえ鬼灯君。あ。ってなに?」

「彼女、数百年前に天国に行った方で、多分、地獄に落ちてきた衝撃で記憶を無くしたんでしょうね。」

「鬼灯君が言うには信じられるけれど落ちてくるって普通はおかしな原理だけどね。今きっとどこかで誰かがん?って思ったよ、きっと。」




END



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