夏を浚う 幼い牙で未来を咀嚼 強くて弱い 豪快で脆い その美しさこそがきたないというのです 赦された毒素 役にも立たない純情なんて捨ててお仕舞い ピンヒールで蹴り上げた砂の硬さがあの日のふたりに似ていたこと 不平等に朝は来る 蜻蛉の目 雲の意図 ところできみは救われたのかい 懐かしい馬鹿 甘いのも辛いのも苦いのも嫌いだったはずなのに 彩度のないキャンパス あの子の朝 あの人の夜 ふたりに巡る四季 鮮やかさを失うことであなたと対等になる 光の速さで捜してください もうずっと動かない人形のようだね そっとやさしく傷つける 憐れなひとを背景に幸福を模る口角 あなたと居たい、あなたと痛い 首筋に白 唇に七の罪 羽僅か その傲慢な体温に巣喰われて朽ちる 錆びついた無垢 こんなときだけ欲しくなる君の存在 妄想癖と頭痛薬 獏と海水 すり減った恋が息をしている 肺呼吸を覚えた次は、君のくちびる奪ってみたい フィルターの紅 不完全少女は人生最大のエラーを生む 生き違い やりすぎた嘘みたいに飛んでやる 強引な縫い目から見え隠れする罪の塊 二度目はないと言いながら 炭酸シャワーに融解 碧い海を綱渡り やさしさの残像 あなたの大好きになることが今は何よりも難しい 憎悪のなかで今ひとつ芽生えた独占欲 語りかける唇に鬱血を落とす 世界の中心の右隣 世界の中心と俺 恋を知って愛を学んで君の腕のなかで死ねたらいい 110819 |