「どう思うこへ」 「うーん、お前に興味がないだけなんじゃないか?」 「…!!」 「あ 間違えた」 お前の体に、興味がないんだと思う。とこへは微笑してわたしを見た。うっせ、そんなのわかってるわ。わかってた、けど人に言われるといらいらする。多分これは相手がこへだからということもあると思う。(文次郎に言われてもあまり変わらないけれど)だいたいなんでわたしがこんな話をわざわざにんたま長屋にまで来てしなきゃいけないのか、それはわたしの恋仲である長次に原因がある。 「わたし、そんなに貧相な体してる?」 「んーよくわからんが私はもうちょっと胸がほしい」 「お前の好きな体格など聞いていない」 「ははは!まあ気にするな!」 「むー」 気にするなと言われても気にするのが人の性なわけで。だいたい、恋仲になってもうひい、ふう、みい…1年?そんなにたったか。なのに、なにもないとは何事だ。いや、別にあってほしいわけじゃないけれど!まわりのくのたまのあののろけ話を聞いてるときのあの劣等感。わたしの方が付き合ってる期間長いのになんでこういう浮いた話が出来ないんだろう。まあ、その浮いたことを長次がしないからだけど。 「…そんなに交わってほしいなら言えばいい」 「こへ、あんた長次を馬鹿にしちゃいけないわよ。わたし、忍び込んだことあるけど長次ったらひとことしか言わなかったのよ?」 「なんて言われたんだ?というかあれは忍び込むというより訪問、って感じでばればれだったぞ」 「だまらっしゃい。長次、いいよって言ったらひとこと、絵美とはやだ」 「おお、絵美は誘うときでも色気ないのか」 「はあああ?黙りなさい、こへ!それに色気はある!な、なきゃ困る!」 「くのたまなのになあ、いたいぞ、それ」 「…実習でちゃんとできたもの。色気がないってことはないはずなのー!」 だいたい、相談してるのがくのたまじゃなくて忍たまって時点で相当追い込まれてるってことなんだけど、長次は気付いてくれない。長次はうぶなのか?それともただ単に嫌なのか。最後の手段として本人に聞こう、と部屋にくればいなくてこへしかいないし。しょうがないからこへに聞けば色気がないだの興味がないだの。そこまで言われて引き下がれるわけないでしょ! 「もっと女らしくすればいいのかしら…」 「んー、長次だって男だ。いつかは来るだろう」 「…それが実習での、違う女とだったらどうすればいいのよ」 「なんでそんな難しく考えるんだ?細かいことは気にするな!」 「もうこへ話にならないー!わっ、」 「お、っと。なんだ?私を誘ってるのか?」 「違うわよ!畳が滑りやすくなってるの!」 なんでこういうハプニングは長次と一緒にいるときにおこらないんだろう。こんなハプニングで長次がうろたえることもないだろうけど、なんて考えてる自分を嘲笑いたい。彼は、わたしの体なんかには興味ないんだった。畳がすり切れてすべりやすくなっていたのか、わたしはこへに流れ込んでしまったまま動かなかった。こへが体制をなおしてこへのあぐらの真ん中にわたしがいる。これ絶対こへに年下扱いされてる…! 「まあ、そうへこむな!長次にもなにか考えがあるんだろ」 「…わたしとどう別れよう、とか?」 「なんでそういう考えになるんだ」 「…わかんない。もう帰る」 「長次は?待たないのか?」 「いいんじゃない?長次はわたしに興味がないんだから」 「…じゃあ来てたことだけは言っておくぞ」 「ありがとう、じゃ」 もう長次なんて知らないんだから!ずんずんと歩きながらくのtま長屋を目指す。そんなにわたしが嫌いか!このごろはあまり会えないし、だいたい会いに行ってもいっつもいないし。逃げてるとしか思えない!なんなんだ、恋仲じゃないのか!もう、別れてやろうか、本当に。もう、今日1日ずっと長次のことしか考えてられなかったじゃない!あああああ、もう! あんな奴、大好きだ! 長次の彼女は長次大好きなツンデレちゃんだといい。そして長次はあれです、かわいい子ほどなんちゃらってやつです。 100119 星羅 |