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01



「ゆづるさんってミッシェルさんと同い年なんですか?」

訓練の合間、壁に背中を預けて一息ついてるゆづるに、前から聞こうと
思っていた事を燈は聞いてみた。

「ううん。違うよ」

ゆづるはふるふると首を横に振った。
彼女も燈同様に汗をかいているが、汗臭いなんて事はなく、むしろ良い匂いが漂っている。

「じゃ、ゆづるさんの方が年上?」

彼女の返答に、意外だなと燈は少し驚いた。
あのミッシェルがちゃん付け呼びを許しているのだから同い年なのだろうと思っていた。

しかし、ゆづるの方が年上だとは・・・。
日本人は若く見えるというか、ミッシェルとゆづるが並べば、やはりミッシェルの方が
年上に思えてしまう。―――だが、彼女がミッシェルより年上だというのは
燈の思い込みだった。

「それも違ーう。私、ミッシェルちゃんより二つ下」
「え」
「む。なんだねあっかりん、その反応は。私の方が老けて見えるとでも?」

ゆづるがむっとした表情で燈を見る。その顔のどこが老けて見えるのか。
逆に実年齢よりも幼く見える。

「いやいや、そんな事はないです」

燈は苦笑して否定する。

それから―――不公平じゃないかと、燈は思った。
自分は初対面でちゃん付けをしたら、「なめんな。お前は年下だろうが」と
冷たくあしらわれたのだ。だというのに、この扱いの差はなんなのか。

「・・・年下なのにちゃん付けして怒られないんスか?」
「んー・・・怒られはしなかったけど、最初は嫌そうな顔してたなぁ〜」

その時を思い出してか、ゆづるは口角を上げて笑う。

「っていうか、あっかりんは怒られたの?」
「はい・・・。『年下だろう、なめんな』って怒られました・・・」

燈がそう言うとゆづるは、「あはは、ミッシェルちゃんらしー」と嬉しそうに笑った。

「―――お、噂をすればミッシェルちゃん!おーい!ミッシェルちゃーん!」

訓練所に入ってきたミッシェルをいの一番に見つけたゆづるは、直ぐ様彼女の元へ駆け寄る。

訓練は、主に艦長の小吉が指導する。
ミッシェル達幹部には訓練の必要は無い為、たまにこうして様子を見に来るだけだ。

抱きつこうとしているゆづるを、片手で押さえつけているミッシェルの姿が目に入る。
―――そのミッシェルの表情が普段よりずっと柔らかい事に燈は気がついた。
ゆづるミッシェルの事が大好きなのは周知の事実だが、やはり彼女も彼女で
ゆづるの事が好きなのだ。

ミッシェルを友人だと思う人がいて、ミッシェルもまた友人だと思える人がいる事に
燈はなんだかほっとした。こんな事ミッシェルに知れれば、余計なお世話だと
言われてしまうだろうが。

―――と、件のミッシェルと燈は目が合う。彼女は唇をこう動かす。

『なに見てんだよ』

やっぱり不公平だと思いながら、燈は苦笑いした。



2014.10.27